アニマルパスウェイ(読み)あにまるぱすうぇい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アニマルパスウェイ」の意味・わかりやすい解説

アニマルパスウェイ
あにまるぱすうぇい

道路建設や住宅地の造成などにより分断された山地森林を、動物が行き来できるように設けた通り道。森林生態系への影響を軽減するための方策の一つで、動物専用の橋やトンネルをさす造語である。アニマルトンネル、エコブリッジなどともよばれ、リスの橋(山梨県大月市)やエゾモモンガのための橋(北海道帯広(おびひろ)市)、オランウータンのための橋(ボルネオ島)など、保全対象の動物から名づけられたものが世界各地にある。

 森林生息域の分断が動植物に及ぼす悪影響は計り知れないものであるが、なかでも、ヤマネ、リス、モモンガといった樹上性動物にとっての影響はきわめて大きい。樹上だけで生活する動物においては移動ができなくなるばかりか、道路を渡れる動物でも、車にひかれてしまう、隠れる場所がないために捕食されてしまうといった、さまざまな危険にさらされることになる。日本では1998年(平成10)に山梨県の八ヶ岳(やつがたけ)南麓(なんろく)清里(きよさと)高原道路の建設に伴い、ヤマネ(国の天然記念物)の生息域に対する影響を少なくするため、木を伝って移動し、道路を渡ることができる専用歩道橋「ヤマネブリッジ」がつくられた。これをつくったキープ協会やまねミュージアム館長で、関西学院大学教授湊秋作(みなとしゅうさく)(1952― )の活動を契機とし、アニマルパスウェイ研究会が発足清水建設大成建設、NTT東日本などの協力を得て、アニマルパスウェイと改称した二つの橋が山梨県北杜(ほくと)市にかけられた(2007、2010年)。2011年(平成23)10月には環境省依頼で、研究会が設置にかかわった三つめのアニマルパスウェイが、日光国立公園「那須平成の森」に設置されるなど、全国へ普及している。

[編集部]

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