日本大百科全書(ニッポニカ) 「モモンガ」の意味・わかりやすい解説
モモンガ
ももんが
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目リス科モモンガ属に含まれる動物の総称。この属Pteromysの仲間は、前後肢の間に飛膜をもつなど、姿はムササビに似るが、体がずっと小さくリス大である。このためしばしば、森に仕掛けられた小鳥用の巣箱に入って子を産み、育てる。ムササビに比べ際だって目が大きく、尾の毛が平たく伸びるのが特徴。バンドリ、モモの名でもよばれるほか、地域によってはモモンガの名はムササビの別称ともされる。モモンガの体色には、背面が灰色のものと褐色のものの二つのタイプがある。腹面はともに白色。体長15~20センチメートル、尾長10~14センチメートル、体重150グラム前後。日本には、北ヨーロッパからシベリア、樺太(からふと)(サハリン)に広く分布するタイリクモモンガの亜種であるエゾモモンガP. volans oriiが北海道に、固有種であるホンシュウモモンガP. momongaが本州、九州に分布する。前者は後者よりもやや体が小さい。北海道では平地にもすむが、本州、九州では、ムササビが低い山に多いのに対して、普通、海抜1000メートル以上の山地、とくに亜高山帯に多く、富士山頂で捕獲された記録もある。夜行性で、木の芽、葉、果実などを食べる。ムササビに比べ、樹上での動きが敏捷(びんしょう)で、滑空のスピードも速く、鳥のようにみえることがある。繁殖期は4~10月。雌は普通、木の洞に樹皮を運んで巣とし、1産3~6子を産む。北アメリカにすむアメリカモモンガ属Glaucomysは、姿、体の大きさともモモンガにたいへんよく似ている。
[今泉吉晴]