栃木県北部を中心に、群馬、福島の3県にまたがる国立公園。1934年(昭和9)阿寒(あかん)(2017年阿寒摩周(ましゅう)に名称変更)、阿蘇(あそ)(1986年阿蘇くじゅうに名称変更)などとともに日光・尾瀬地区569.23平方キロメートルが国立公園に指定され、1950年(昭和25)鬼怒川(きぬがわ)・塩原・那須(なす)地区などが編入され、1957年区域変更、拡張が行われた。2007年(平成19)8月には尾瀬地区を分離、尾瀬地区を中心地域とした尾瀬国立公園が指定された。面積1149.08平方キロメートル。1911年(明治44)栃木県日光町が第28帝国議会に「日光山ヲ帝国公園ト為(な)スノ請願書」を提出し、これの採択がきっかけとなって、1931年国立公園法が制定され、1934年第1回の雲仙(うんぜん)(1956年雲仙天草に名称変更)などに続いて同年第2回目に指定された。火山、高原、渓谷、滝、湖沼、湿原、森林植生など天然の秀でた日本的景観に加え、東照宮、輪王(りんのう)寺、日光二荒山(ふたらさん)神社などの人工美の両面を兼ね備え、電車、バスなどの交通の便がよく、東京観光圏に含まれ、ゴルフ場、釣り、ハイキングコース、旅館、保養所などの観光施設が整っているところにこの公園の特長がある。
日光地区は、徳川家康を祀(まつ)る東照宮など二社一寺を中心に門前町として発達した日光市街地や、霧降(きりふり)高原など表日光と、いろは坂上の奥日光からなる。奥日光には国の名勝に指定されている華厳滝(けごんのたき)、中禅寺(ちゅうぜんじ)湖をはじめ、男体(なんたい)山、特別保護地区の戦場ヶ原、湯ノ湖、日光湯元温泉などがあり、新緑、避暑、紅葉など年中観光客でにぎわう。鬼怒川・栗山(くりやま)、塩原・那須甲子(かし)地区は渓谷や火山に加えて温泉に恵まれ、いずれも著名な観光地となっている。なお、2007年に尾瀬国立公園として分割した尾瀬地区は只見(ただみ)川上流の水源地に位置し、燧ヶ岳(ひうちがだけ)を映す尾瀬沼、その西に尾瀬ヶ原があってミズバショウ、ホロムイソウ、モウセンゴケなどの湿地植物が独得の景観を展開する。
[平山光衛 2018年5月21日]
『森田敏隆写真『日本の大自然19 日光国立公園』(1994・毎日新聞社)』▽『青山忠道写真・文『光と花の日光――日光国立公園の自然』(2005・下野新聞社)』
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…長さ6km,幅2km,面積7.6km2。原のほぼ2/3が群馬県,1/3が福島県,ごく一部が新潟県に属し,東方の尾瀬沼とともに日光国立公園の一部をなす。1960年特別天然記念物に指定された。…
…1952年8月の最深部での採泥によると,湖底堆積物の表面から18cmと19cmに榛名山二ッ岳起源と思われるテフラ(火山灰などの降下火砕物)が挟在する。西方の尾瀬ヶ原とともに日光国立公園に属する。尾瀬ヶ原【阪口 豊】。…
…県域北端部の那須岳を主峰とする那須火山群,その南西方に釈迦ヶ岳を含む高原火山群,さらにその南西方に白根山,男体(なんたい)山を含む日光火山群がある。これら火山群の周辺には温泉(那須,塩原,鬼怒川(きぬがわ),川治)も多く,日光国立公園に指定されている。東部の茨城県境には起伏の小さい八溝(やみぞ)山地が南北にのび,北から南に向けて低くなっている。…
※「日光国立公園」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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