日本大百科全書(ニッポニカ) 「アポリナリオス」の意味・わかりやすい解説
アポリナリオス
あぽりなりおす
Apollinarios
(310ころ―390ころ)
360年ごろ任じられたラオディケア(シリア)の主教。反アリウス主義者で、一時はアタナシウスとも親交があった。彼は、キリストにおける神性を強調するあまり、人間の三分法を用いて、キリストには肉体と魂(プシューケー)はあるが、人間の霊(プネウマ)のかわりに神の霊(ロゴス)が宿っていると主張した。この説はキリストの人性を不完全なものにするとして、カッパドキアの教父たちやアンティオキア学派の神学者たちに批判され、381年のコンスタンティノープル公会議で異端とされたが、後のキリスト単性論への道を開くこととなった。著作の多くは失われ、断片しか現存しない。
[木寺廉太 2017年11月17日]