主教(読み)しゅきょう(英語表記)bishop

翻訳|bishop

精選版 日本国語大辞典 「主教」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐きょう ‥ケウ【主教】

〘名〙 東方正教会イギリス国教会の教職制での最高位をいう。司祭の上で、信徒司牧教区統轄などを行なう。ローマ‐カトリック教会の司教に相当する。
※東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉三月暦「大主教及主教(シュケウ)二人雪白法衣を着け」

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デジタル大辞泉 「主教」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐きょう〔‐ケウ〕【主教】

ギリシャ正教会イギリス国教会などの高位聖職ローマカトリック教会司教にあたる。いくつかの教会を包括する教区を管轄。→大主教

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改訂新版 世界大百科事典 「主教」の意味・わかりやすい解説

主教 (しゅきょう)
bishop

キリスト教の聖職のうち最高の職制。カトリック教会では〈司教〉,プロテスタント教会の一部では〈監督〉と呼ぶ。主教職の起源については不明の点が多いが,1世紀の教会ではエピスコポスepiskopos(〈監督〉の意,のち主教となる)とプレスビュテロスpresbyteros(〈長老〉の意,のち司祭となる)の区別が明確ではなかった。しかし2世紀中葉までにはエピスコポスが聖職の最高位として確立した。キリスト教の中心地は必ず主教をいただくことになり,その管轄区(教区と呼ぶ)は,ローマ帝国の行政区分に準じて定められた。主教は,1世紀末の教父クレメンスが主張したように,使徒権能を受け継ぐとされている。この理念は,カトリック教会と東方正教会では保たれているが,アングリカン・チャーチ(英国国教会)を除くプロテスタント諸教会では否認された。したがってプロテスタント諸教会の監督は使徒継承性をもたないことになる。ローマ帝国の首都および属州の主都の主教は,他の主教にも管轄を及ぼすことからメトロポリテスmētropolitēs(府主教,首都大司教)と呼ばれた。さらに一国またはそれに準ずる地域の教会の最高責任者としてパトリアルケスpatriarchēs(総主教,ローマ教会教皇の名称を用いた)が設けられた。しかし,これらは主教としては同等の資格である。

 主教は古代教会では選挙で選ばれるのが通例であった。この原則は今日なお東方正教会とアングリカン・チャーチでは守られている。ただし選挙母体は時代と地域によってきわめて多様で,また選挙制が形式化したことも少なくない。カトリック教会では教皇が最終的な任命権を有している。主教の職務は教区の統轄であるが,任地に赴任せずに教会政治に参与する主教もある。カトリック教会では主教のみが堅信と叙階の二つのサクラメントを与えることができる。司祭の妻帯が通例の東方正教会では,主教は独身の修道司祭から選ばれる。アングリカン・チャーチの主教は上院に議席を有するが,その数は1878年からは26名に限定されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「主教」の意味・わかりやすい解説

主教
しゅきょう
bishop 英語
episcopos ギリシア語

キリスト教の東方正教会、聖公会などでの用語で、ローマ・カトリック教会の司教に相当する。原語は監督者の意味で、監督とよばれることもある。キリストの十二使徒の使命を継ぐものとされ、その集まりである主教団は教会内で最高の責任を担う。その職務、権能はカトリック教会の司教とほぼ同じで、下位にある司祭と協力して、信徒の司牧、教区の統治、福音(ふくいん)の宣教を行う。東方正教会では、主教の妻帯は認められていない。また主教のなかの上位者として、東方正教会では総主教、府主教、大主教があり、現在、日本ハリストス正教会の最高位者は府主教である。日本聖公会では最上位者は首座主教とよばれている。古代では、ローマ、アレクサンドリア、アンティオキア、コンスタンティノープル、エルサレムの五大主教(アーチビショップ)(大司教)は、とくに総主教(パトリアーク)(総大司教)とよばれ、大きな宗教的権威が与えられていた。

[鶴岡賀雄]

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普及版 字通 「主教」の読み・字形・画数・意味

【主教】しゆきよう

天主教。

字通「主」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「主教」の意味・わかりやすい解説

主教
しゅきょう

司教」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の主教の言及

【司教】より

…新約聖書のギリシア語エピスコポスepiskopos(監督)という言葉のもつ役割が制度化されたキリスト教会の役職。〈司教〉との訳語は,特にローマ・カトリック教会で用いられ,日本聖公会,日本ハリストス正教会では〈主教〉の語があてられる。按手礼によって使徒の後継者として立てられた,地方教会の統治者であり,各地に分散しているキリスト者が祭司の民として一致して礼拝を行うために,一同に奉仕する司祭(長老)団の中心人物。…

【聖職者】より

…聖職者の起源は必ずしも明らかでなく,またユダヤ教の祭司の権威と職能がどこまでキリスト教に受け継がれたかについても議論がある。すでに新約聖書のなかに監督(エピスコポス),長老(プレスビュテロス),執事(ディアコノス)の名称が見えているが,2世紀はじめのイグナティオスの書簡によれば,この3者がはっきり区別され,主教司祭助祭の3聖職の原型が成立していたと考えられる。このうち主教は教区の統轄者,司祭はミサ(聖餐式)を中心とする祭儀の執行者,助祭は主教および司祭の補助者である。…

※「主教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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