アマテラスオオミカミ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アマテラスオオミカミ」の意味・わかりやすい解説

アマテラスオオミカミ(天照大神)
アマテラスオオミカミ

オオヒルメムチとも呼ばれる。女神。『日本書紀』ではイザナギノミコト,イザナミノミコトが諸神を産み終えて「天下の主」として産む。『古事記』では,イザナギノミコトが阿波岐原で禊祓いをして左眼を洗ったとき生れたとある。高天原の主神であると同時に,皇孫ニニギノミコトに神勅と三種の神器を授け葦原中つ国を治めさせている。日の神としてあがめられ,伊勢皇大神宮 (内宮) に祀られると同時に,皇室の祖神でもある。津田左右吉は,伊勢にもともと古くからあった日神崇拝が後世になり皇室の祖神と習合され,または同一視されたもので,その時期は6世紀をさかのぼらないであろうと説いている。『日本書紀』には,垂仁帝のヤマトヒメノミコトが斎宮として,大神をしずめ祭るべき地を求め,大和から伊勢に遷幸し,託宣によりその地にしずめたと記されている。『古事記』によると,その弟スサノオノミコトが天の真名井の誓約みずからの心の清明であることを示しえたことで得意になり大神の田をこわし溝を埋めるなどの乱暴を働くが,大神はとがめなかった。さらに大神が神御衣 (かむみそ) を織っていると,天斑馬が逆剥ぎにされ投込まれたので,大神がついに怒り天岩屋戸にこもったため天地は暗黒となり,さまざまな災いが起った。そこで神々は協議しアメノウズメノミコトに舞を舞わせ大神を岩屋戸から招き出す。この神話は,冬至の頃の弱くなった太陽霊魂を招き返し,これに活力を与えようとする鎮魂祭儀式と解され,大神は日神であるわけだが,もう一つの性格としてみずから神田を営み,神衣を織っている点から神を祀る巫女とも考えられている。

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