アルタクセルクセス3世(読み)アルタクセルクセスさんせい(その他表記)Artaxerxēs III

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルタクセルクセス3世」の意味・わかりやすい解説

アルタクセルクセス3世
アルタクセルクセスさんせい
Artaxerxēs III

[生]?
[没]前338/前337
アケメネス朝ペルシアの王 (在位前 359/8~338/7) 。ペルシア名アルタクシャトゥラ。アルタクセルクセス2世の子。血縁者を殺害して権力を確立,サトラップ (州総督) らにギリシア傭兵を解雇させて中央集権を強め,アテネに平和条約を強要 (前 355) 。弱体化していたペルシア勢力を迅速に回復した。前 404年以来独立していたエジプト制圧を試みて失敗したが,前 345年シドンを征服したのち,再び海陸の大軍をみずから率いてナイルデルタのペルシウムでネクトハルヘブ2世のエジプト軍を撃破 (前 343) ,都市の城塞を破壊し,神殿を略奪した。前 340年マケドニアのフィリッポス2世の攻撃に対してペリントス,ビザンチオン,アテネを支援したが,不成功に終った。この侵略はアレクサンドロス3世 (大王)に引継がれることとなる。スーサに帰還後,政治をほしいままにしていた宦官バゴアスに息子たちとともに暗殺され,末子アルセスが王に擁立された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アルタクセルクセス3世」の意味・わかりやすい解説

アルタクセルクセス[3世]
Artaxerxēs Ⅲ

アケメネス朝ペルシア帝国の王。在位,前359-前338年。アルタクセルクセス2世の子で〈オコス〉と称された。即位するや王位継承権を主張しうる兄弟一族のものすべてを殺害。反乱をおこしたシドン市を破壊し,前343年には60年以上にわたって独立を維持してきたエジプトの再征服に成功した。彼は残忍と評されるが,そのすぐれた指導力によって帝国支配の強化に貢献した。のち,信任する宦官バゴアスに毒殺された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアルタクセルクセス3世の言及

【ペルシア帝国】より

…それと同時に専制政治の弊害も現れはじめ,クセルクセスは親衛隊長らの宮廷陰謀によって殺された。続くアルタクセルクセス1世の治世前期にエジプトが反乱を起こし,アテナイと結んでペルシアに抵抗した。しかし,前454年に反乱は平定され,ペルシア戦争以来続いたアテナイとの敵対関係も〈カリアスの和約〉(前449)によって一応の解決をみたので,帝国の平和は維持された。…

※「アルタクセルクセス3世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android