スーサ(読み)すーさ(英語表記)Susa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スーサ」の意味・わかりやすい解説

スーサ
Susa

イラン南西部の古代都市。スサとも表記される。ザグロス山脈南麓に位置し,今日のフージスターン州シューシュ Shushにあたる。エラム王国とアケメネス朝ペルシアの首都。前4000年頃から定住があったと推定され,アッカド時代にはエラム民族の国家が生まれ,その首都となったが,前640年頃アッシリアアッシュールバニパルによって破壊された。しかし前522年からアケメネス朝ペルシアのダレイオス1世とその後継王たちがここを首都と定め,宮殿をはじめ都市が建設されて大いに栄えた。首都がペルセポリスに移ったあとも,冬宮,交易中心地として重んじられた。ヘレニズム時代にはセレウキアと呼ばれて自治都市となり,3~7世紀のササン朝ペルシアでは絹の産地として有名であった。14世紀末前後まで地方の中心都市として栄えた。2015年世界遺産の文化遺産に登録。(→スーサ遺跡

スーサ
Sousse; Sūsah

チュニジア中央東部,ハンマメット湾南岸の港湾都市で,スーサ県の県都。肥沃なオリーブ,穀物栽培地域にある商業中心地。イワシ缶詰,自動車組立て,オリーブ油製造,綿紡などの工場がある。リン鉱石,石油,エスパルト草 (パルプ原料) ,皮革アーモンド海綿の輸出港。前9世紀にフェニキア人が貿易基地として建設し,カルタゴ,ローマ時代を通じて繁栄した。初期キリスト教のカタコンベ跡が残る。ビザンチン時代からアグラブ朝までの城塞に囲まれた旧市街には大モスク,市場やイスラム教徒の居住地があり,1988年世界遺産の文化遺産に登録。人口 10万 1071 (1989推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スーサ」の意味・わかりやすい解説

スーサ
すーさ
Susa

イラン南西部のフーゼスターン地方にある、先史時代からイスラム時代にわたる遺跡。カールーン川に合流するシャーウル川左岸にあり、とくにアケメネス朝ペルシアの都市がもっとも有名である。遺跡の北端には玉座の間であるアパダーナダリウスの宮殿、その南西にアクロポリスがあり、南東に王の都市と名づけられた計三つのテル(遺丘)が連続し、王の都市の東に技術者の都市とよばれるテルがある。アクロポリスからは、スーサI型と名づけられた彩文土器が出土しているが、それとともに動物文、人物文、幾何学文などの土器が出土し、それはシアルクⅢ期、ウバイド期と関係が深い。アパダーナ、ダリウス王宮のあるテルは、アパダーナの丘とよばれる。ダリウスの王宮からはバビロニア語、エラム語の粘土板文書が発見され、王の都市は、フランスのギルシュマンの発掘により、イスラムからエラム時代までの15層が確認されている。シャーウル川右岸でも大広間が発見されている。現在のスーサの東に接したアクロポリスの丘の麓(ふもと)には、出土品を収蔵した博物館がある。

[糸賀昌昭]

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