アルバジン(読み)あるばじん(その他表記)Албазин/Albazin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルバジン」の意味・わかりやすい解説

アルバジン
あるばじん
Албазин/Albazin

ロシア連邦東部、アムール川黒竜江)北岸にあったロシアの要塞(ようさい)。中国側資料ではヤクサ雅克薩)。1651年ロシア人ハバロフЕрофей Павлович Хабаров/Erofey Pavlovich Habarov(1610ころ―1667)の探検隊が占領して根拠地とし、派遣された清(しん)軍を破った。ハバロフの仕事はコサックステパノフが引き継ぎ、流域地方の遠征を繰り返したが、1658年清軍に破られ、アルバジンは奪還された。しかし、ロシア人はふたたび占領、1674年ごろ再建、司令官トルブジンが駐在した。その後、清軍の包囲、ロシア軍の撤退と占領があり、ネルチンスクでロシア・清間の交渉が行われた結果、1689年清領と確定し(ネルチンスク条約)、城塞は撤去された。その後、1858~1860年に愛琿(アイグン)条約および北京(ペキン)条約によってふたたびロシア領となった。

[木村英亮]

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改訂新版 世界大百科事典 「アルバジン」の意味・わかりやすい解説

アルバジン
Albazin

アムール川(黒竜江)の北岸ブラゴベシチェンスクの上流約450kmにあったロシアの城塞。その地は今日のロシア連邦アムール州に属する。清朝ではこの地を雅克薩(ヤクサ)と呼んだ。1651年ロシアは東部シベリア開拓の前進基地としてここに城塞を築いた。以来アムール沿岸地方の領有をめぐってロシアと清との間に緊張が生じ,ついに1685-86年に2度にわたって両国の間に武力衝突が起こり,ロシアは敗れてアルバジン城は撤去されたが,89年のネルチンスク条約によりその地はロシアの領有に帰した。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アルバジン」の解説

アルバジン
Albazin 阿爾巴青

アムール川北岸のロシア領にある町。清代の雅克薩(ヤクサ)。清初の露清紛争の地で,ロシアは要塞を築き根拠地とした。ネルチンスク条約で清領と確定。アイグン条約後ロシア領となる。

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