日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルラン」の意味・わかりやすい解説
アルラン
あるらん
Marcel Arland
(1899―1986)
フランスの小説家、批評家。バレンヌ・シュル・アマンスに生まれる。第一次世界大戦後、19世紀以来の諸価値が崩壊するいわゆる「不安の時代」に、旧来のモラルに反逆して新しいモラルを模索する青年を主人公に、半自伝的長編『秩序』(1929。ゴンクール賞受賞)を書いて文壇に注目された。その後、故郷の自然を背景にした中編『生まれた土地』(1938)や『生ける者』(1934)、『われらが最良の日々』(1937)などの優れた短編集を出版した。また『NRF(エヌエルエフ)』誌に毎号文芸批評の筆をとった。第二次大戦後は1953年以来ポーランとともに『新NRF』誌の主筆を務め、『水と火』(1956)などによって短編作家の本領を発揮した。アカデミー会員。
[稲田三吉]