日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンカ」の意味・わかりやすい解説
アンカ
あんか
Paul Anka
(1941― )
アメリカのポピュラー歌手、ソングライター。カナダのオタワ生まれ。高校時代から歌い、1956年に初レコード『私は告白する』I Confessを発売。1957年に『ダイアナ』Dianaが売上げ900万枚を超え、一躍ロックン・ロールの人気スターとなった。『君はわが運命(さだめ)』You Are My Destiny(1958)、『ロンリー・ボーイ』Lonely Boy(1959)などヒット作が続き、1962年に依頼されて書いた、映画『史上最大の作戦』の主題歌も好評を博す。このころからホテルやテレビのショーに出演してファンの年齢層を広げ、1970年代以降ラスベガスのショーでも活躍、エンターテイナーとして高い名声を得た。
フランスのシャンソン『平常のように』Comme d'habitude(1967。歌手クロード・フランソワとジル・チボー作詞、クロード・フランソワとジャック・ルボー作曲)の英語詞版『マイ・ウェイ』My Wayを1968年に書き上げ、尊敬するフランク・シナトラに贈ると、シナトラの歌唱によるレコードが翌1969年にヒットとなった。1971年に引退したシナトラが1973年に復帰したときにも、シャンソン『時間をください』Laisse Moi le Temps(1973。ミシェル・ジュールダン作詞、カラベリ作曲)の英語詞版『愛をもう一度』Let Me Try Againを書いて贈り、同年ふたたびシナトラのレコードがヒットした。また、映画『キャプテン・ロン』(1992)、『オーディナリー・マジック』(1993)に俳優として出演し、評判になった。
[青木 啓]
『桐谷浩史編『黄金伝説――60'sポップスグラフィティ エルビスが青春だった』(1988・立風書房)』▽『デイヴィッド・ダルトン、レニー・ケイ著、高橋あき子訳『ロック偉人伝 上巻』(1993・シンコー・ミュージック)』