日本大百科全書(ニッポニカ) 「シナトラ」の意味・わかりやすい解説
シナトラ
しなとら
Frank Sinatra
(1915―1998)
アメリカのポピュラー歌手、映画俳優。ニュー・ジャージー州生まれ。父はイタリア移民。1933年ビング・クロスビーの実演を聞いて歌手を志し、35年にプロとして歌い出した。39年ハリー・ジェームズ楽団に参加、翌年トミー・ドーシー楽団に移り、42年に独立。独特の甘美な歌唱でボビー・ソクサー(女学生)のアイドルとして圧倒的な人気を得た。40年代末からは疲労と私生活の問題から不調になり一時人気も下降したが、50年代に入って自身の新しいスタイルを確立、名実ともにアメリカを代表する大歌手となり、多くの歌手に影響を及ぼした。映画出演は41年からで、ミュージカルを中心に数多くの作品があるが、53年の『地上(ここ)より永遠(とわ)に』でアカデミー助演男優賞を受賞してからは、演技派スターとしても活躍。61年にリプリーズ・レコード会社を設立した。69年には、『マイ・ウェイ』が大ヒットした。71年春に引退を表明したが73年秋に復帰。95年まで歌い、芸能界の帝王とよばれる実力と貫禄(かんろく)を示し続けた。1960年の初来日以来、94年まで日本訪問は6回を数えた。
[青木 啓]