アージービカ教(読み)アージービカきょう(英語表記)Ājīvika; Ājīvaka

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アージービカ教」の意味・わかりやすい解説

アージービカ教
アージービカきょう
Ājīvika; Ājīvaka

インドの六師外道の一人ゴーサーラの属していた宗教。漢訳仏典では邪命外道と訳しているが,元来は,「生活法に関する規定を厳密に遵奉する者」の意味。ゴーサーラは,生き物を構成している要素として,霊魂,地,水,火,風,虚空,得,失,苦,楽,生,死の 12種を考えた。霊魂は物質のように考えられ,諸元素のみならず動物,植物などにも存在するとする。一切の生き物が輪廻に流されているのは無因無縁であり,それらが清浄となり解脱するのも無因無縁である。それらには自由意志というものがなく,運命,状況,本性に支配されて,無限に長い時間に愚者も賢者も流転し苦の終りにいたる。その間,修行によって解脱することは不可能である。彼は以上のような決定論を説き,バラモン教権威を否定した。アージービカ教はマウリヤ朝頃まではかなり有力であったが,その後ジャイナ教に吸収された。しかし,南インドのタミル地方ではアージービカ教が存続していたことが 1294年の碑文から推定される。

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