精選版 日本国語大辞典 「宿命論」の意味・読み・例文・類語
しゅくめい‐ろん【宿命論】
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いっさいのものが人知・人力を超えた絶対の力によって決定されるという考え方で、運命論ともいわれる。ギリシアの哲学者ゼノンは、「運命(ヘイマルメネー)に従っていっさいは生ずる」といった。この場合、運命とは存在するものの原因の意味であり、あるいは宇宙をあますところなく導くロゴスの意味である。日常的には、いっさいのことはそうなるように前世から決まっていて、人力ではどうにもならないから、運命に従うほかないという人生態度のことをいう。
運命には偶然と必然の側面がある。ギリシア語のテュケー(運命)は、「偶然出会う」とか「行き当たる」という意味のことばから由来し、ペプロメネー(運命の女神)も、ポローの完了受動形のペプローマイ(運命として決められた)からきている。ヘイマルメネー(運命)の元のことばメイロマイ(運命づけられる)も分け前をもらうという意味である。運命は人間にとっては偶然的なものとして現れるが、神からみればことごとく必然であり、計画的な決定ずみの事項であるかもしれない。
ギリシアでは、ゼノンやエピクテトスなどのストア哲学が代表的な宿命論であるが、キリスト教には、世界のいっさいのことがあらかじめ神の意志によって決定されているという予定論の考えがある。仏教の業(ごう)や因縁という考え方のうちに宿命論的な発想をみることもできる。
宿命という考え方は、たとえそれがどれほど不条理なものであっても、これをやむをえないこととして受け入れ、忍従するという消極的な人生態度につながりがちであるが、自己の運命を静かに見つめ、運命をむしろ自らのものとして積極的に受け入れるニーチェの「運命愛」の思想においては、自由と必然は深いところで一致するのである。
[伊藤勝彦]
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