イエンピエン朝鮮族自治州(読み)イエンピエンちょうせんぞく(その他表記)Yanbian Chaoxianzu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

イエンピエン(延辺)朝鮮族〔自治州〕
イエンピエンちょうせんぞく
Yanbian Chaoxianzu

中国東北地方,チーリン (吉林) 省東端にある自治州。行政中心地はイエンチー (延吉) 市で,ほかにトーメン (図們) 市など4市と3県がある。チャンパイ (長白) 山地にあり,イエンチー,フンチュン (琿春) ,トンホワ (敦化) などの盆地が開ける。南は北朝鮮との境をトゥマン (豆満) 江が流れ,北西部はムータン (牡丹) 江の上流域である。清代から朝鮮人の入植が多く,朝鮮ではカンド (墾島,間島) と呼んで,領有を主張していたが,1909年中国領となった。 10年の日韓併合後,日本の支配を逃れて朝鮮から移住する人々が多くなり,朝鮮人,中国人の抗日独立運動の根拠地として,両国の解放に大きな役割を果した。盆地と谷は灌漑施設が整い,チェンタオ (間島) 米の産地。コーリャンダイズ,タバコも栽培される。トンホワ市を中心にチョウセンヤマブドウの栽培とワインの醸造が盛ん。山地ではチョウセンニンジン,鹿茸などの漢方薬材,キノコ類,キクラゲを産し,チョウセンゴヨウマツ,トウヒ,カラマツ,チョウセンハリモミなどの用材も豊富。多数の小型炭鉱が開発され,鉄鋼機械金属紡織などの工場が建設されているが,特に製紙が盛んで,ロンチン (竜井) 市のカイシャントン (開山屯) ,トーメン市のシーシエンには大型工場がある。民族色の豊かな陶磁器絹織物も産する。イエンピエン大学など朝鮮族の特色を生かした教育文化施設がある。人口 207万 9902 (1990) 。

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