電気推進型のロケットエンジンの一種。通常のロケットが化学物質を燃焼させて推力を得るのに対し、電気を用いて推力を得るエンジンを電気推進型という。イオンエンジンは、キセノンなどのガスをイオン化して、さらに静電加速し、そのイオンガスを排出するときの反動で前進する。イオン推進、イオンロケット、イオンスラスタともいう。通常の化学燃焼型ロケットのように大きな推力は出せないが、継続的に長期間の加速が可能なので、惑星間飛行時の加速や軌道安定のための微調整などに利用される。
原理は、キセノンなどの燃料材をイオン化(正電荷の陽イオンと電子に分ける)し、陽イオンを静電加速する。この段階で機体本体は反動で前に推進力を受ける。加速された陽イオンは負電極を通り抜け、外へ排出されるが、このとき、先ほど分離した電子を付加して、ガス全体の電荷を中和する(機体全体が負電荷に帯電させないため)。
2003年(平成15)打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」での運用により注目された。その後、「はやぶさ2」(2014年12月打上げ)や「ベピ・コロンボ」(2018年10月打上げ)などに搭載され、開発が進行中である。
[編集部 2022年10月20日]
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