イギリス・エジプト条約(読み)いぎりすえじぷとじょうやく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イギリス・エジプト条約」の意味・わかりやすい解説

イギリス・エジプト条約
いぎりすえじぷとじょうやく

1936年8月26日、ロンドンで調印されたイギリス・エジプト両国間の友好条約。エジプトは19世紀末以来イギリスの実質的支配下にあり、第一次世界大戦に際して正式に保護国とされたが、戦後激しい独立運動により1922年「独立」した。しかし、スエズ運河スーダンでのイギリスの権益は留保され、軍隊駐屯も継続し、治外法権も残されたため、その後も反英運動が続いた。1929年、イギリスは初めてスエズ運河地帯以外の軍事占領を終結する条約案を示したが、交渉は難航し、1935年秋イタリアのエチオピア侵略による危機感を背景にしてようやく条約成立となった。内容は、(1)イギリスはエジプトの国際連盟加盟を支持する、(2)20年の期限付きでイギリス軍のスエズ運河地帯駐留と、戦時における同国領内での自由な作戦行動を認める、(3)スーダンの地位は従来どおりとするが、同地へのエジプト人の移住の自由などを認める、(4)治外法権は将来廃止する(翌1936年の取り決めで12年後とされる)、などであった。同条約によりエジプトの「独立」はより実質的なものに近づいた。

[石井摩耶子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「イギリス・エジプト条約」の意味・わかりやすい解説

イギリス・エジプト条約【イギリスエジプトじょうやく】

1936年調印の条約で,英国はエジプトの完全な主権承認引換えスエズ地区駐兵権を得た。1922年独立したエジプトの民族運動高揚に英国が譲歩したものだが,1951年エジプトは廃棄通告,1956年英軍は撤兵完了

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「イギリス・エジプト条約」の解説

イギリス‐エジプト条約(イギリス‐エジプトじょうやく)

エジプト‐イギリス同盟条約

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android