イデオロギーの終焉(読み)イデオロギーのしゅうえん(その他表記)The End of Ideology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イデオロギーの終焉」の意味・わかりやすい解説

イデオロギーの終焉
イデオロギーのしゅうえん
The End of Ideology

アメリカの社会学者 D.ベルが 1960年に発表した論集。工業化の進展によってイデオロギー的には対極に位置するはずのアメリカとソ連の両体制に類似性が現れていることを論じた体制収斂 (しゅうれん) 論の代表的著作。現代社会は技術革新によって生産力の飛躍的な発展をとげており,「所得革命」や「完全雇用」によって「ゆたかな社会」を実現しているという事実認識を論拠にしたマルクス主義の唱える窮乏化による階級闘争論への反論でもあった。プロレタリアートの経済的貧困の解消によって階級を存在基盤とするイデオロギーはその役割を終える。政治はもはや絶対的な帰依を求めるイデオロギー同士の激突ではなく,利益集団間の妥協による市民政治に姿を変えるのである。イデオロギーの終焉とは政治における絶対的信念の終りであり,1枚の青写真に従って社会の全体を変革できるとする思考様式に対する破産宣告でもあった。

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