いりこ

精選版 日本国語大辞典 「いりこ」の意味・読み・例文・類語

いり‐こ

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 海参・煎海鼠 ) ナマコのはらわたを取り去って煮て干したもの。薬用、また、中華料理の材料などに用いる。ほしこきんこ
    1. [初出の実例]「凡調絹絁〈略〉若輸雑物者。〈略〉熬海鼠(いりこ)廿六斤」(出典令義解(718)賦役)
    2. 「白き物こそ黒く成けれ けづりぬる木にもいりこをつらぬきて〈慶友〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)一七)
  3. 小さいイワシなどの雑魚(ざこ)を煮て干したもの。煎り雑魚。煎り干し。煮干し
    1. [初出の実例]「よう遊ぶ子にいりこ持たする」(出典:雑俳・唐子おどり(1704‐16頃))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「いりこ」の意味・わかりやすい解説

いりこ

〔1〕煎海鼠、熬海鼠、乾海鼠と書く。ナマコの煮干し。いりなまこ、きんこ、干しなまこともいう。おもに中華料理に使い、中国では海参(ハイシェン)という。平安初期から朝廷への貢ぎ物とされた。

12月から翌年3月にかけてつくる。採取したナマコを一夜、生け簀(いけす)に入れて砂を吐かせたのち、尾部を包丁で数センチメートル割き、このわたの原料となる腸を取り除き、海水で洗い、水切り後、海水中で約1時間よく煮る。この間、膨れるものは釘(くぎ)を打って穴をあけ、裂けるのを防ぐ。そのあと、水切りし、簀の上に置いて天日乾燥する。約1週間で固く干し上がる。製品には刺(とげ)のある刺参(しさん)と、刺のない無刺参がある。北海道や本州、九州ではナマコ、クロホシナマコ、クロナマコなどを用いて刺参をつくり、南九州や沖縄ではフジコ(キンコともいう)を用いて無刺参をおもにつくる。食べるときは、よく煮た後放置しておくと4、5日でもどる。主として中華料理に使うが、長崎あたりでは正月に雑煮に入れる所もある。

〔2〕イワシの幼魚、カタクチイワシ、カマスの幼魚、その他の小魚の煮干しをいう。主として関西で使われる語。

[金田尚志]


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栄養・生化学辞典 「いりこ」の解説

いりこ

 イワシの小魚を薄い食塩水で煮て乾燥したもの.だし汁をとる.

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