ハルシュタット文化(読み)ハルシュタットぶんか(英語表記)Hallstatt

翻訳|Hallstatt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハルシュタット文化」の意味・わかりやすい解説

ハルシュタット文化
ハルシュタットぶんか
Hallstatt culture

ヨーロッパ中部の初期鉄器時代の文化。前 1100/前 1000年頃から前 800/前 700年頃までの前期とこれに続く前 450年頃までの後期とに分けられる。オーストリアハルシュタットで 1846~99年に約 2000の墓地が発掘され,装身具武具馬具什器などの工芸品が出土し,チェコスロバキア,オーストリア,ドイツ南西部に展開されたこの時期の鉄器の特殊性が認められ,同地の名称で呼ばれるようになった。後期のものはフランス,北欧でもみられる。渦文,鋸歯文 (きょしもん) などの幾何学文様が多く,左右対称形で鳥や対になった人物像などもみられる。ギリシア・ローマ文化とも連絡がみられ,ラ・テーヌ文化に取って代わられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハルシュタット文化」の意味・わかりやすい解説

ハルシュタット文化
はるしゅたっとぶんか
Hallstatt

ヨーロッパに広くみられる青銅器時代から鉄器時代にかけての文化。名前の由来は、オーストリアのザルツブルク東南東にある同名の湖の湖岸遺跡があることによる。この遺跡は18世紀以来知られており、調査もしばしばなされ、2500にも及ぶ墓が発見されている。ほかの遺跡でも墓は多く発見されているが、住居址(し)の発見は比較的少ない。土着ウルネンフェルト文化から受け継いでいるものが多いが、ギリシア文化からの影響も色濃くみられる。墓には青銅製品、鉄製品などの金属製品が多く埋められている。またウマの利用を物語る馬具、戦車副葬もみられる。ケルト人と結び付けられることが多い。この時期の砦(とりで)のなかにはカエサルの『ガリア戦記』に登場するものもある。

藤本 強]

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