いろえ(読み)イロエ

デジタル大辞泉 「いろえ」の意味・読み・例文・類語

いろえ

能の所作の一。クセの前に、シテが静かに舞台を一巡する短い舞。また、そのときの囃子はやし
[補説]ふつう「イロエ」と書く。

いろ‐え

《「いろ」は接頭語同母の兄。
やつがれが―の二柱ふたはしら天皇」〈允恭紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「いろえ」の意味・読み・例文・類語

いろえ

〘名〙 (「イロエ」と書く) 能楽で、普通、クセの前に、シテが放心とか、たずね求める雰囲気とかを表わすために静かに舞台を一回りする短い舞。「楊貴妃」「船弁慶」など、優雅な女性の役に多い。また、その時の囃子(はやし)大鼓(おおつづみ)小鼓(こつづみ)、まれに太鼓はやし、笛があしらう演奏法(手附(てつけ))の名称

いろ‐え

〘名〙 (「いろ」は同母の意を表わす語) 同母である兄。
書紀(720)履中六年二月(寛文版訓)「悲しきかな、吾が兄(イロエ)の王(おほきみ)何処(いつち)か去(ま)しけるや」

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