日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワベンケイ」の意味・わかりやすい解説
イワベンケイ
いわべんけい / 岩弁慶
[学] Rhodiola rosea L.
ベンケイソウ科(APG分類:ベンケイソウ科)の多年草。地中に径1~2センチメートルのゴボウ状の根茎があり、鱗片葉(りんぺんよう)に覆われた先端だけが地表に現れている。毎年根茎の先端から、高さ10~30センチメートルになる花茎を出す。地上部は全体に粉白を帯びる。葉は互生し、やや肉質で、長さ1~4センチメートル、多くは倒卵形あるいは楕円(だえん)形で、縁(へり)には不規則な低い鋸歯(きょし)が数個ある。花は4数性で茎頂に密集した集散花序につき、7~8月に開く。雌雄異株。雄花には線形で長さ約3ミリメートルの黄緑色の花弁と、8本の雄しべと退化した子房がある。雌花の花弁は萼(がく)裂片よりも短い。子房は下半分が萼筒と合着する。種子は長さ約1.3ミリメートルで、長さ6~9ミリメートルになる心皮中に多数できる。北海道、本州中部地方以北の高山の岩礫地(がんれきち)に点在し、北半球の温帯から亜寒帯および高山帯に分布する。本種を含むイワベンケイ属は約50種あり、数種を除き、ヒマラヤから中国西南部を中心とする中央アジアの高地に分布する。
[大場秀章 2020年3月18日]