シュポーア(読み)しゅぽーあ(英語表記)Louis Spohr

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュポーア」の意味・わかりやすい解説

シュポーア
しゅぽーあ
Louis Spohr
(1784―1859)

ドイツの作曲家、バイオリン奏者、指揮者。ブラウンシュワイクに生まれる。同地に学んだのち、シュターミッツ門下のバイオリン奏者フランツ・エックに師事し、ともに演奏旅行を行う。1812~15年アン・デア・ウィーン劇場の楽長を務め、名バイオリン奏者ロードやパガニーニと出会う。フランクフルト市立劇場楽長を経て、22~57年カッセル宮廷楽長を務め、同地で世を去った。モーツァルトの影響のもとに甘美な旋律性に富んだ作風で、メンデルスゾーンシューベルトと並ぶ初期ロマン派に属するとみなされている。作品はオペラ交響曲、室内楽曲など多数あるが、15曲のバイオリン協奏曲がとくに有名。

樋口隆一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュポーア」の意味・わかりやすい解説

シュポーア
Spohr, Louis

[生]1784.4.5. ブラウンシュワイク
[没]1859.10.22. カッセル
ドイツ・ロマン派初期の作曲家。バイオリニストとしても活躍し,独奏楽器としてのバイオリンに真のロマン的抒情性を与え,種々の技巧的改革とともに,ロマン派のバイオリン音楽の扉を開いた。オペラの分野では,『ファウスト』や『イェソンダ』などの作品を書いて,C.ウェーバーとともに,ドイツ国民オペラの成立に大きな役割を果した。管弦楽では複数楽器のための交響協奏曲,クラリネット協奏曲,交響曲が重要。モーツァルトの影響を示しながら,ワーグナーの革新的音楽も認め,自由な市民精神にあふれる独自の様式確立

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