インプラントの話(読み)いんぷらんとのはなし

家庭医学館 「インプラントの話」の解説

いんぷらんとのはなし【インプラントの話】

 インプラントは、日本語では埋植(まいしょく)あるいは嵌植(かんしょく)と呼ばれ、金属セラミックハイドロキシアパタイトなどの材料からなる人工材品を使って、失われた歯の代用をさせる治療法のことをいいます。
 現在商品化されているインプラント材料はチタン主流で、世界中では100を超える種類が販売されています。
 インプラントには、骨の中に埋め込む骨内(こつない)インプラント、骨の上にのせる骨膜下(こつまくか)インプラント、動揺の激しい歯を固定する歯内骨内(しないこつない)インプラントなどの方法がありますが、現在では骨内インプラントが中心となっています。
 骨内インプラントは、顎骨内(がくこつない)に穴を開け、人工の歯根(しこん)を埋めて機能させるわけですから、整形外科人工関節などと同じと考えられます。
 人工関節はからだの中に埋め込まれて使われるのですが、歯科インプラントの場合は、口腔粘膜上皮(こうくうねんまくじょうひ)に飛び出ているので、上皮が常に欠損状態にあるというリスクがあります。ただし、口腔内は唾液(だえき)によって常に潤い、洗浄されているので、ある程度、異物を容認できる能力をもっています。
 インプラントは、医師の技術、受け入れ側の状態、術後のケアのしかたなどによって、その寿命が左右されます。寿命が数十年という長期の報告例(海外)もありますが、手術後、早い時期に除去されることも多いのが現状です。
 また、誰でもこの治療が簡単に受けられるものでもありません。外科的手術が必要なため、傷の治りを妨げるような病気のある人(たとえば糖尿病など)やメンテナンス清掃)のできない人などにはむいていません。
 骨の質が悪い人(骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のある人)、骨の量が不十分な人などでも、この治療法を受けることはむずかしいといえます。よく専門家の説明を聞き、納得してから治療を受けることがたいせつです。
 最後に、インプラントと天然歯のもっとも大きなちがいは、インプラントには感覚機構がないために、かんだ感じや痛みなどが天然歯と基本的に異なることです。このようなことから、インプラント治療は、これらのことを理解した人のみ行なえる治療といえるでしょう。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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