日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォルター・トンプソン」の意味・わかりやすい解説
ウォルター・トンプソン
うぉるたーとんぷそん
J. Walter Thompson Co.
アメリカの広告会社。1864年に設立されたカールトン・アンド・スミス社が前身。1878年にJ・ウォルター・トンプソンが事業を継承し、1890年代にアメリカで支配的地位を確立、さらに1973年に首位の座を日本の電通に奪われるまでは世界最大の広告会社として君臨していた。1912年にスタンレー・リーサーが同社の実権を握り、広告のほか子会社の形で市場調査や非破壊試験機の製造、販売も行ってきた。1930年以降、海外進出を意図するアメリカ企業はマーケティング戦略をもつ広告会社を先兵とするようになったため、同社もヨーロッパを中心に海外に多くの拠点をもつようになった。
1999年時点で、海外79か国に237の事業所をもち、従業員数約7300人、売上高約80億ドルであった。1980年に世界一のPR会社ヒル・アンド・ノートンと資本提携、JWTグループをつくり持株会社の中心となったが、1987年にはロンドンに本社がある広告会社WPPグループの傘下に入ることになった。WPPグループは、1999年の売上総利益は49億1930万ドルで、広告会社として世界第3位。J・ウォルター・トンプソンは、WPPグループの中核にあって「ブランドづくり」を企業哲学として、従来の広告業の枠を超えた「トータル・ブランディング」を掲げている。
なお、1956年(昭和31)に日本法人として設立されたJ・ウォルター・トンプソン・ジャパン株式会社は、外資系広告会社の最古参である。
[島守光雄]
WPPグループの2008年度の売上高は74億7690万ポンド、純利益は5億1390万ポンド。
[編集部]