日本大百科全書(ニッポニカ) 「エチェベリーア」の意味・わかりやすい解説
エチェベリーア(Luis Echeverría Álvarez)
えちぇべりーあ
Luis Echeverría Álvarez
(1922―2022)
メキシコの政治家。メキシコ市の中流家庭に生まれ、メキシコ国立自治大学で法律を学んだのち母校の教授を務め、そのかたわら政治活動を開始。与党である制度的革命党(PRI)に入党し(1946)、党組織や政府の重要なポストを経て、内務大臣(1964~1969)となり、ついに大統領に選ばれた(1970~1976)。社会正義の実現を目ざして国内の改革を試みたが、保守派の抵抗にあい成果をあげえなかった。対外面では第三世界諸国の立場に近づき、「国家の経済権利義務憲章」を提案して国連総会での採択に尽力し、国際社会におけるメキシコの地位を築くのに貢献した。任期満了後オーストラリア大使などを務める。1970年(昭和45)エチェベリーアの提案により翌1971年に発足した「日墨(にちぼく)研修生・学生等交流計画」が創設30周年を迎えるのを機に、2000年(平成12)政府の招待で来日した。
[加茂雄三]
エチェベリーア(Esteban Echeverría)
えちぇべりーあ
Esteban Echeverría
(1805―1851)
アルゼンチンの詩人。1825年フランスに渡り、ソルボンヌ大学で学ぶかたわら、ロマン主義者たちとボヘミアン的な生活を送る。30年に帰国するや当時の文壇の指導的立場にたつが、独裁者ロサスと反目し、ウルグアイに移住、その地で死去した。アルゼンチンのロマン主義の父といわれ、多くの詩集を残したが、なかでも『叙情詩集』(1837)に収められた「囚(とら)われの女」はアルゼンチンの自然や人間の生活をみごとに歌い上げている。ただ彼の詩は概して表面的にすぎるといわれる。また、連邦派と中央集権派の抗争を描いた小説『畜殺場』(1840)はロサス政権に対する批判であり、当時の作家たちが直面していた現実が浮びあがる。
[安藤哲行]