日本大百科全書(ニッポニカ) 「国家の経済権利義務憲章」の意味・わかりやすい解説
国家の経済権利義務憲章
こっかのけいざいけんりぎむけんしょう
Charter of Economic Rights and Duties of States
発展途上国の経済的、社会的立場を強化して新国際経済秩序を樹立することをうたった国際憲章。単に経済権利義務憲章ともいい、1972年の国連貿易開発会議(UNCTAD(アンクタッド))第3回総会でメキシコのエチェベリーア大統領が提唱したことからエチェベリーア憲章ともいう。70年代に入ると、発展途上国の開発戦略は自力で経済開発を行う方向へ転化し、それは資源ナショナリズムとして現れていった。発展途上国と先進国との討議は主としてUNCTADで行われたが、74年4~5月に開催された国連資源特別総会で新国際経済秩序樹立宣言と同行動計画が満場の合意で採択され、その内容は、同年12月の第29回国連総会において、先進国の強い反対にもかかわらず圧倒的多数で採択された「国家の経済権利義務憲章」として具体化された。憲章の内容は、公正、平等、相互依存、協力のもとに新国際経済秩序を樹立することを基本目的とし、その方策として、あらゆる富、天然資源および経済活動に対する恒久主権の確立、国有化の権利を含む外国投資および多国籍企業の規制、また途上国の所得や交易条件の安定化のために輸出品(一次産品)価格を輸入品(工業製品)価格に連動して調整するというインデクセーション制の採用や、生産国同盟参加の権利などが決められている。
[秋山憲治]