日本大百科全書(ニッポニカ) 「エテオクレス」の意味・わかりやすい解説
エテオクレス
えておくれす
Eteoklēs
ギリシア神話の英雄オイディプスとイオカステの子。父親をテバイ(テーベ)から追放したのち、兄弟のポリネイケスと父の王位を争い、1年交代で国を治めるという約束で最初の王となった。しかし彼は約束を守らず、1年たっても王位を渡さなかったので、怒ったポリネイケスはアルゴスに逃れ、その地の英雄たちを引き連れてテバイを攻めた。最後はエテオクレスとポリネイケスとの兄弟同士の決闘となり、相討ちでともに果てた。しかし国の慣習により、王エテオクレスは埋葬されても、敵のポリネイケスの葬儀は行われなかった。そのため、禁を犯して兄を弔った妹のアンティゴネは、伯父である摂政(せっしょう)のクレオンにより罰せられて自殺した。そしてこれを悲しんだクレオンの息子で彼女の婚約者ハイモンと、クレオンの妻エウリディケも、ともにあとを追った。
[小川正広]