エミグレ(読み)えみぐれ(その他表記)émigré フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エミグレ」の意味・わかりやすい解説

エミグレ
えみぐれ
émigré フランス語

一般的には政治上の亡命者を意味するが、歴史上ではフランス革命に反対して亡命した貴族、聖職者などをさす。亡命は、1789年の革命勃発(ぼっぱつ)直後から始まり、その進行につれて亡命者の数は増し、93年ごろ3万を超えたといわれる。彼らのなかには、国王ルイ16世の弟プロバンス伯(後のルイ18世)やアルトア伯(後のシャルル10世)などもいた。亡命者は、イギリス、イタリア、オランダオーストリアなど、ヨーロッパ各国に及んだが、なかでもドイツ西部の諸国に集まり、コブレンツがそのおもな拠点であった。彼らは、フランス内外の反革命勢力の仲介者として策動、革命戦争中には軍を組織して活動したため、革命側は財産没収や永久追放など厳しい処置をとった。長い国外生活に窮する者もあり、家庭教師、ダンスや剣術の教師などで糧(かて)を得る者もいた。革命後期、ナポレオン時代を通じて帰国、それが終わる王政復古期には、反動的な王党派として勢威を一時的に回復した。

[山上正太郎]

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旺文社世界史事典 三訂版 「エミグレ」の解説

エミグレ
émigrés

フランス革命中,外国に亡命した人びと
ドイツ西部のコブレンツ市は彼らの本拠で,特に亡命貴族は国内の反革命派と結んで反革命運動を行い,革命戦争の原因をつくった。王政復古後,その多くは帰国したが,革命中に没収された土地は返還されず,問題を残した。

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