エリザベス女王工学賞(読み)えりざべすじょおうこうがくしょう(英語表記)Queen Elizabeth Prize for Engineering

共同通信ニュース用語解説 「エリザベス女王工学賞」の解説

エリザベス女王工学賞

英国工学分野のノーベル賞を目指して創設した国際賞。英王立工学アカデミーが運営し、2013年から2年に1回、画期的な技術革新人類に顕著な恩恵をもたらした個人やグループを表彰している。日本からは元東大学長で三菱総合研究所小宮山宏こみやま・ひろし理事長審査委員の一人として参加。賞金は100万ポンド(約1億4300万円)で、日産自動車ソニー東芝などがスポンサーとなっている。(共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エリザベス女王工学賞」の意味・わかりやすい解説

エリザベス女王工学賞
えりざべすじょおうこうがくしょう
Queen Elizabeth Prize for Engineering

卓越した技術革新で人類に多大な恩恵をもたらした技術者やグループを表彰する国際的な賞。イギリス女王エリザベス2世の即位60周年を記念して制定され、2013年に第1回授賞式が行われた。略称はQEPrize。工学分野のノーベル賞ともよばれる。毎年2月、イギリス国王バッキンガム宮殿で受賞者に賞金50万ポンド(約8000万円)とトロフィーを贈る。

 2011年、イギリス首相(当時)のデビッド・キャメロンや超党派議員らの発案によって設立された。産業革命を主導しながらも、国内製造業が衰退し、工学分野の技術革新で後れをとっていたイギリスで、改めて工学の大切さに光をあて、若い世代が将来のキャリアとして技術者を選択するよう啓発する目的がある。BAEシステムズブリティッシュ・ペトロリアムBP)、グラクソ・スミスクライン、シーメンス、タタ鉄鋼ヨーロッパ、ソニー、日産自動車、東芝などの企業協賛金を基に、エリザベス女王工学賞財団が運営・管理にあたっている。選考は世界各国の専門家で構成する審査委員会が担当。当初、隔年(賞金100万ポンド)で受賞者を選んでいたが、急速に進む技術革新を踏まえ、2022年からは毎年の授与に切り替えた。各年の受賞者は5人以内。初代受賞者はインターネット技術を開発したロバート・カーンRobert E. Kahn(1938― )、ビントン・サーフVinton G. Cerf(1943― )ら5名で、これまでに薬物伝送システム(DOS)技術を開発、応用したロバート・ランガーRobert S. Langer(1948― )、全地球測位システム(GPS)を開発したブラッドフォード・パーキンソンBradford Parkinson(1935― )らが受賞。日本人では、2017年(平成29)、デジタル映像画質の向上につながるフォトダイオードを開発した寺西信一(のぶかず)(1953― )、2021年(令和3)、青色発光ダイオードを開発、製品化した赤﨑勇(あかさきいさむ)と中村修二、2022年にはネオジム磁石を開発した佐川眞人(さがわまさと)(1943― )が受賞している。

[矢野 武 2022年9月21日]

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