日本大百科全書(ニッポニカ) 「エーワル」の意味・わかりやすい解説
エーワル
えーわる
Johannes Ewald
(1743―1781)
デンマークの詩人。牧師の子として大学で神学を学んだが、不幸な恋をして学業を捨て、プロシア軍などに志願して放浪。不治の病を得て帰国したとき、ある協会が募集した懸賞に応じて詩劇『幸福の宮』(1764)を投じ、これが当選して詩人としてたつに至った。『アダムとエバ』(1769)、『バルドルの死』(1773)などで名声いよいよあがり、王から年金をもらうようになったが、病はさらに悪化、それを酒にまぎらせて大作の詩劇『漁夫』(1779)をようやく完成したが、最後はペンも持てぬようになって死んだ。デンマーク国歌『クリスチャン王はマストの傍らに立つ』はこの作中に挟まれた詩。デンマークのプーシキンともいうべき詩人で、いまも国民にもっとも愛されている。
[山室 静]