おおい(町)(読み)おおい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「おおい(町)」の意味・わかりやすい解説

おおい(町)
おおい

福井県南西部、大飯郡(おおいぐん)にある町。2006年(平成18)、大飯郡大飯町、遠敷(おにゅう)郡名田庄村(なたしょうむら)が合併して成立。小浜(おばま)市の南西にあたり、東から南、西は滋賀県と京都府に接する。西部から南東部にかけて標高700~800メートルの山々に囲まれ、京都府との境を水源とする佐分利川(さぶりがわ)が北東流して小浜湾に注ぎ、南部を南川がほぼ東流する。北部は若狭湾を小浜湾と高浜湾に分かつ大島半島の大部分を含み、半島の付け根部分の青戸(あおと)入江には青戸の大橋が架かる。町域の約90%は山林で占められ、佐分利川や南川支流沿いの平地、大島半島の小浜湾岸に集落が集まる。JR小浜線、舞鶴若狭自動車道(まいづるわかさじどうしゃどう)、国道27号、162号が通じる。佐分利川流域ではきのこ類とウメが栽培され、名田庄地区は林業が衰退してジネンジョが特産物。若狭湾には真珠貝の養殖場がある。大島半島先端の大飯原子力発電所は西日本最大級の電力供給基地で、町の財政も比較的豊かである。半島には、古代信仰の原形とされる「ニソの杜(もり)」とよばれるタブやシイの森が30ほど残る。文化財も多く、半島にある長楽寺阿弥陀如来(あみだにょらい)坐像、多聞天(たもんてん)立像、清雲寺(せいうんじ)の毘沙門天(びしゃもんてん)立像、善師童子(ぜんにしどうじ)立像、吉祥天(きちじょうてん)立像、常禅寺(じょうぜんじ)の不動明王坐像が国の重要文化財に指定。名田庄納田終(のたおい)には、中世から名田庄とゆかりの深い陰陽(おんみょう)家の安倍(土御門(つちみかど))家や暦に関する資料などを展示する暦会館がある。面積212.19平方キロメートル、人口7910(2020)。

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出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例