シイ(読み)しい

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シイ
しい / 椎
[学]Castanopsis cuspidata (Thunb.) Schottky

ブナ科の常緑高木。高さ25メートル、径1.5メートルに達する。樹皮は黒褐色。小枝は細かく分かれ、半球状の樹冠をつくる。冬芽は扁平(へんぺい)、葉は左右2列に互生し、表面は濃緑色で裏面は銀灰色から銀褐色に変わり、光沢が強く、全縁または上半部に鈍い鋸歯(きょし)がある。5月下旬、雄花、雌花ともに穂状花序となり、当年枝の葉腋(ようえき)に斜め上向きにつく。雄花序はクリの花に似てよく目だち、強い臭気がある。虫媒花。堅果は黒褐色、先がとがった長楕円(ちょうだえん)形から球形で、落果する直前まで外面に突起のある灰色の総包で完全に包まれ、成熟するには2年間かかる。大木になっても樹皮が滑らかで堅果は小さく卵円形、長さ約1センチメートルのものをツブラジイ(別名コジイ)、若木のうちから樹皮が割れ始め、堅果は大きく狭卵形、長さ約1.5センチメートルのものを変種スダジイ(別名イタジイ)といって区別するが中間形が多く、どちらも単にシイということが多い。
 スダジイは福島県以西の暖帯に広く分布し、沿岸地でよく育つ。一方ツブラジイはおもに近畿地方以西の内陸部に分布する。稚樹、成木ともに耐陰性がある。萌芽(ぼうが)更新も行い、乾燥地形では大群落をつくり、日本の暖帯林の極相種となる。建築材などにするが、材質は劣る。シイタケ栽培の原木ともする。蜜(みつ)に悪臭があり、養蜂(ようほう)家に嫌われる。
 シイ属は殻斗にクリ状のいがをもつものが多く、クリカシ属ともよばれる。すべて常緑樹である。主として東アジアの暖帯に約50種分布し、照葉樹林の代表樹種である。堅果はタンニンが少なく生食できるものが多いことから、古代人類にとっては農耕文化以前から重要な食料となっていたと考えられている。多くの種が分布する中国では栲の字でこの属を統一している。[萩原信介]

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

〓 (シイ)
※〓は「木」の右に「啚」。

植物。ブナ科シイノキ属の常緑樹の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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