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ウメ

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栄養・生化学辞典の解説

ウメ

 [Prunus mume].バラ目バラ科サクラ属の落葉小高木.果実を梅干しにしたり,梅酒の材料にする.

出典|朝倉書店
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食の医学館の解説

うめ【ウメ】

《栄養と働き》
 ウメほど日本人の生活文化に深く根ざしている果樹はないでしょう。花は『万葉集』にも122首も詠(よ)まれていますし、庭木や盆栽としても観賞されてきました。果実については「ウメは三毒(食べもの・水・血の毒)を絶つ」などといわれており、その効用については定評のあるところです。
 ウメにはクエン酸リンゴ酸コハク酸ピクリン酸などの有機酸や、カルシウム・リン・カリウムなどのミネラル、そしてカロテン・ビタミンB1・B2・Cなどが含まれており、その多様さは類をみないほど。これらが「医者いらず」の役割をはたしています。
〈ウメそのものにも、また分泌される唾液にも健康維持の秘密がある〉
○栄養成分としての働き
 ウメのpHは酸っぱいウメ干しで2.0、梅肉エキスでは1.4で、O(オー)―157菌が耐えうる限度のpH2.5を超えています(数値が低いほど酸性が強い)。ほかの食中毒を起こす菌はO―157菌ほど酸に強くないので、ウメの殺菌力が食中毒予防や腐敗防止に威力を発揮するのです。
 ウメに豊富に含まれるクエン酸は糖の代謝を活発にし、疲労物質の乳酸を燃焼させてエネルギーにかえる働きがあり、疲労回復に役立ちます。また、ピクリン酸が肝機能を活性化させるので二日酔い防止にも効きます。さらに、血管の老化を防止するうえ、ウイルスがん細胞などを取り込んで消化するマクロファージを活性化させるといわれています。
 ウメ干しを見ただけでも唾液(だえき)の分泌(ぶんぴつ)がさかんになります。唾液中にはでんぷん質の分解を助けるアミラーゼのほか、若返りホルモンパロチンが多量に含まれています。また、唾液中には発がん物質の毒性を抑制する酵素も含まれています。
○漢方的な働き
 ウメに鍋ずみなどをまぶして黒くし、これを燻煙(くんえん)したのち、さらにさらし干ししたものが漢方薬の烏梅(うばい)です。ウメのもつ強い抗菌力と整腸作用を利用したもので、細菌性の下痢(げり)、嘔吐(おうと)、食欲不振、食物や薬物中毒に効果があるとされています。また駆虫作用、止血、のどのかわき、せき止めのほか、外用として化膿性(かのうせい)の皮膚疾患やリウマチ、腰痛にも有効といわれています。
○注意すべきこと
 種の中の核には青酸(せいさん)を生成するアミグダリンが含まれていて、食べると下痢(げり)などを起こすことがあります。未成熟の青ウメはとくに核が割れやすいので要注意です。
《調理のポイント
 ウメの一般的な利用法としてウメ干しやウメ酒があげられます。しかしウメ干しはナトリウムが多いので、高血圧の人などは調味漬けで食べるか、梅肉エキスでウメの薬効をとるようにしましょう。
 梅肉エキスはウメ干しの30倍の効能と10倍の抗菌性があるといわれています。水に溶かして飲めば乗り物酔い防止に、患部に塗り続ければ水虫も改善できます。
〈食前に軽く1杯のウメ酒は食欲増進に効果的、しかし飲みすぎは禁物〉
 ウメ酒はもっとも馴染(なじ)み深い果実酒です。すでにできあがっている酒類を原料とするので、混成酒類に分類されます。ベルモットなどほかの混成酒類は、原料の酒類よりミネラル分が減りますが、ウメ酒だけは逆に増加します。ウメの有効成分アルコール中に溶けだしているからです。とくにカリウムがワインビールに次いで多いのが特徴です。
 また美しい琥珀色(こはくいろ)と香りだけでなく、適度な酸味とアルコールが胃を刺激し、食欲増進につながります。カリウムは食事で余分に摂取したナトリウムを排出するので、食前酒に最適なわけです。しかし飲みすぎると酔うのはもちろん、ウメ酒の糖分で逆に食欲が抑えられてしまいます。
 湿布にすると腫(は)れものの痛みや神経痛、肩こりに効果があります。
〈簡単に家庭でつくれるウメの加工品〉
 お酒に弱い人や子どもには、アルコール分のないウメシロップがおすすめです。作り方は、洗ってヘタをとったウメの水分をふいて、表面を竹串でつつき、保存ビンにグラニュー糖といっしょに入れて密閉するだけです。時々ゆすって、2~3か月で熟成します。このシロップを水やお湯で割って飲むと、疲労回復に効きます。このとき、浸透圧の高い果糖で漬けると、ウメにシワができにくく、青ウメの再利用がしやすくなります。
 ウメシロップをつくる際に、ホワイトリカーをほんの少量注ぐと、青ウメの砂糖漬けができます。これは青ウメを食べるもので、食中毒予防に役立ちます。
 いちばん短時間でできるのが、ジャムです。やわらかく煮たウメを裏ごしし、砂糖を加えて煮詰めるだけ。これも食中毒予防になります。
 青ウメは、色が鮮やかで張りがあり、形のいいものを選びます。

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ウメ
うめ / 梅
Japanese apricot英語
prunier de Japonフランス語
[学]Prunus mume Sieb. et Zucc.

バラ科の落葉高木。高さ5~10メートルになり、樹皮は暗灰色で堅く、割れ目ができる。葉は互生し、卵形、長さ4~8センチメートルで先はとがる。2~3月、葉の展開に先だって径2~3センチメートルの5弁花を開き、芳香があり、柄はほとんどない。多数の雄しべと1本の雌しべがあり、子房に毛がある。果実は球形、径2~3センチメートルの核果で、一側に浅い縦の溝があり、果面に微毛を密生する。6~7月、黄色に熟す。果肉は酸味があり、中の核は楕円(だえん)形で表面に凹点が多く、果肉と核は密着している。中国中部の原産で、日本で野生化したものとされている(大分県と宮崎県に自生するとの説もある)。梅は『万葉集』ではウメといい、平安時代以後はすべてムメとよび、現代はウメと称している。ウメは中国語の梅Meiから転化したとも烏梅(うばい)から転化したともいわれている。ウメには異称が多く、好文木(こうぶんぼく)、花の兄(はなのあに)、春告草(はるつげぐさ)、匂草(においぐさ)、香散見草(かざみぐさ)、風待草(かぜまちぐさ)、香栄草(かばえぐさ)、初名草(はつなぐさ)などがある。[小林義雄]

種類

ウメには多数の品種があり、中国から渡来したもののほかに、日本でも江戸時代には品種がつくられ、現代では300種以上ある。花梅は野梅(やばい)系、紅梅(こうばい)系、豊後(ぶんご)系の3系に大別されている。[小林義雄]
野梅系
野梅系はさらに、野梅性、紅筆(べにふで)性、難波(なにわ)性、青軸(あおじく)性に分けている。
(1)野梅性は枝が細く、葉がやや小形で原種に近い。品種が多く、紅冬至(こうとうじ)は紅色、中輪一重咲きで冬至には咲く。道知辺(みちしるべ)は紅色、大輪一重咲き。(てっけん)は花弁が退化して小さく、雄しべは長く外に飛び出す。座論(ざろん)は八房(やつぶさ)ともいわれ、白色、中輪八重咲きで雌しべが数本あり、果実が数個固まってつく。香篆(こうてん)は淡白色、中輪八重咲きで枝がねじれて曲がる。このほか、果樹にする白色中輪一重の白加賀(しろかが)、淡紅色中輪一重の養老(ようろう)、白色小輪一重で実の小さい小梅(こうめ)などがある。
(2)紅筆性は花は紅色で、つぼみの先がとがる。紅筆は口紅ぼかしの中輪一重咲き。内裏(だいり)は淡紅色絞り、大輪八重咲き。
(3)難波性は枝が細く、葉は丸みが強く、挿木の可能なものが多い。玉拳(ぎょくけん)は紅白中輪三重で、花底は緑黄色。難波紅は紅色、中輪八重咲き。浮牡丹(うきぼたん)は淡紅色、中大輪八重咲き。
(4)青軸性は枝や萼(がく)が緑色で花は青白色。緑萼(りょくがく)は青白色、中大輪八重咲き。月影(つきかげ)は青白色、中小輪一重咲き。[小林義雄]
紅梅系
材が赤く、花は紅色が多いが白色もある。紅梅性、緋梅(ひばい)性、唐梅(とうばい)性に分ける。
(1)紅梅性は花は紅色。紅鶴(べにづる)は大輪一重咲き。紅千鳥(べにちどり)は中輪一重で旗弁(きべん)が出る。
(2)緋梅性はとくに花色の濃い系統をいう。緋梅は小輪一重咲き。鹿児島紅は中輪八重咲き。
(3)唐梅性は花が下向きにつき、のちに色が薄くなる。唐梅は紅色で赤すじがあり、中輪八重咲き。[小林義雄]
豊後系
豊後性と杏(あんず)性に分ける。
(1)豊後性は枝が太く、葉は大形の丸葉で、表面に毛がある。ウメとアンズの雑種ともいわれ、実をとる品種に豊後がある。谷の雪は白色、大輪一重咲き。武蔵野(むさしの)は淡紅色、大輪八重咲き。
(2)杏性は豊後性に似るが、アンズに近い性質をもち、葉は小形で表面に毛がない。江南所無(こうなんしょむ)は紅色、大輪八重咲き。記念(きねん)は濃紅色、中輪八重咲きで、どちらも遅咲き。[小林義雄]

天然記念物・名所

多くの株になる臥竜梅(がりゅうばい)の古木には、国の天然記念物である宮城県仙台市の朝鮮梅、山口県柳井(やない)市の余田(よた)臥竜梅、宮崎県宮崎市高岡町の高岡の月知梅(げっちばい)、宮崎県新富町の湯ノ宮の座論梅(ざろんばい)、鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市の藤川天神の臥竜梅などがある。有名な梅林には、茨城県水戸市の偕楽園(かいらくえん)梅林、東京都青梅(おうめ)市の吉野梅郷、横浜市の大倉山梅林、静岡県熱海(あたみ)市の熱海梅林、奈良県の月瀬(つきがせ)梅林、和歌山県みなべ町の南部(みなべ)梅林などがある。[小林義雄]

栽培

ウメは砂質の水はけのよい適湿な肥沃(ひよく)地を好む。移植は比較的容易で、10月ごろから翌年の3月ごろまで可能。俗に「サクラ切る馬鹿(ばか)、ウメ切らぬ馬鹿」といわれるが、剪定(せんてい)は冬の間にする。前年に伸びた枝に開花するので新しい枝を伸ばすためにも剪定が必要である。施肥は寒肥として油かすや、化学肥料を与えるが、開花直後に十分施してもよい。
 繁殖は一般には接木(つぎき)による。台木は挿木苗も用いるが、発根率が悪いので、実生(みしょう)苗が多く用いられる。実生は、採集した果実の果肉を除き、水洗いして陰干ししたものを砂に混ぜ、乾かさないよう貯蔵し、翌年の早春に播(ま)く。挿木には難波性の白難波や野梅性を用いる。
 害虫としては、4~5月にウメケムシ、テンマクケムシとよばれるオビカレハがつく。枝上に糸を張ってテントをつくりその中に群居しているからテントごと除去するか、「ディプテレックス」、DDVP、「スミチオン」の散布が有効である。このころアブラムシがつくので、「エストックス」「エカチン」などの乳剤(1000倍)を散布する。病気には枝や幹につくこうやく病がある。これはカイガラムシと共生するものであるから、5月に「スミチオン」「エルサン」などを散布してカイガラムシを防除し、この病気を防ぐ。[小林義雄]

利用

ウメは古くから庭木、盆栽として観賞され、実を食用や薬に利用してきた。実の酸味はクエン酸とりんご酸、コハク酸、酒石酸などからなる。種子と葉にはアミグダリンがあり、杏仁水(きょうにんすい)の原料にするが、生梅は食べないほうがよい。梅干しは塩漬けにしたウメの実を日に干し、これにアカジソの葉を加えて漬け、赤く染めたものである。塩漬けのときに上がってくる水を梅酢といい、これを水で割って暑気あたりのとき飲む。「梅びしお」は梅干しの肉を裏漉(うらご)しして砂糖を加えたもの。梅酒は実を氷砂糖を加えた焼酎(しょうちゅう)に漬けてつくり、渇きを止め暑気を払うのによいといわれる。このほか、砂糖漬け、のし梅など各種の菓子に利用する。ウメの樹皮または材を梅皮(うめかわ)といい、加賀の梅染め、琉球(りゅうきゅう)の梅染めなどの染料にする。材は緻密(ちみつ)で堅く、粘りが強く、床柱、櫛(くし)、将棋の駒(こま)、そろばん玉、彫刻などに用いる。[小林義雄]
実ウメの栽培
浅根性であるが、実とり用栽培では耕土はやや深くし、春先に凍霜害の少ない所で栽培する。苗は接木により繁殖する。台木は普通ウメの実生(共台(ともだい))を用いるが、アンズ、モモ、スモモなどいずれも相互に接木親和性があり、台木として可能。栽培密度は10アール当り30本内外とし、育成した苗は11月には新根が伸び始めるので、定植は10月から11月初めにするのが望ましい。移植する場合も同様である。一般に自家結実性は低く、品種により0~30%の変異がみられ、また、花粉のほとんどない白加賀などから豊富な紅サシ、玉梅などまで幅がある。品種の選定にあたっては、果実の品質、利用目的と交配結実性、花粉量などを考えて行い、圃場(ほじょう)は開花後の凍結が少ない所がよく、早春の訪花昆虫の飛来を保護する防風林なども配置することが望ましい。
 なお、ウメとアンズは類縁性がきわめて近く、純粋ウメ(小梅、青軸、小向(こむかい))から純粋アンズ(平和、新潟大実(おおみ))までの間に一連の雑種性品種があり、アンズ性ウメ(白加賀、長束(なつか)、藤五郎(とうごろう)、豊後(ぶんご))、中間系(養老、紅加賀)、ウメ性アンズ(清水号(しみずごう)、小杏(こあんず))などがある。豊後は大果で有名。また、ウメとスモモの類縁も近く、果皮がウメに似て短毛を密生し、果肉がスモモに似て深紅色で多汁のスモモウメもみられる。昔から、ウメは早春の花として、保健的な食品として、さらに縁起のよい食べ物として庭先をにぎわわしてきた果樹の一つで、このため、変異は多く、多数の品種が出る原因となった。全国での栽培面積は1万7700ヘクタール、果実生産量は12万3000トン(2005)。結実不安定性のため生産量の年次間変異が大きい。これは、雌しべ発達の不安定性、交雑和合花粉の受粉の有無、開花結実後の凍結害の有無とその程度などが一定しないことによる。実ウメの病気には、黒星病、炭疽(たんそ)病、かいよう病など、害虫にはアブラムシやタマカイガラムシなどが多い。果実生産は和歌山、徳島、千葉、山梨、群馬、長野、福島、茨城などに多い。暖地では白加賀、長束、鶯宿(おうしゅく)、南高(なんこう)などが、寒地では藤五郎、豊後、藤之梅(ふじのうめ)などがよく栽培される。収穫は早生(わせ)種は6月上旬、晩生(おくて)種は6月下旬から7月上旬に行う。[飯塚宗夫]
薬用
漢方では未熟な果実を薫製にしたものを烏梅(うばい)といい、有機酸を多量に含有するので、下痢や咳(せき)がいつまでも続くとき、体力が衰えて熱っぽく口が乾くとき、回虫のために腹痛をおこしたときなどの治療に用いる。烏梅にすこし甘味をつけたものは菓子にもなる。また、烏梅はベニバナで布を染めるときの媒染剤としても用いる。日本では核を除いて製したものをふすべうめ(燻梅)と称して烏梅と同様に用いる。未熟な果実を陶製おろし器でおろし、布に包んで絞り、その汁液を浅い容器に移し、毎日日光に当てて水分を蒸発させたり、陶製の容器に入れ弱火で長い時間かけて濃縮したものを梅肉エキスといい、食あたり、下痢、腹痛などの薬として民間でもよく用いられている。これを長期に連用して痛風(つうふう)、高血圧症、糖尿病、胃腸病の人の体質改善に役だてる方法もある。[長沢元夫]

文化史

中国では6世紀の『斉民要術(せいみんようじゅつ)』に、すでに梅干しや梅酢の作り方などの加工技術や栽培法が記されている。日本に渡来したのは奈良時代以前で、最初の栽培地を長崎県平戸の梅崎とする口伝がある。日本では『懐風藻(かいふうそう)』(751)に初めてウメの名が取り上げられたが、『万葉集』では118首に歌われ、これはサクラの約3倍にあたり、ハギに次いで多い。当時から観梅が行われ、大宰帥(だざいのそち)であった大伴旅人(おおとものたびと)は客人を集めて宴を催したが、そのときの梅花の歌32首が『万葉集』(巻5)に載せられている。『万葉集』には白花だけが詠まれているが、9世紀の『続日本後紀(しょくにほんこうき)』(869)になると紅梅が顔を出す。菅原道真(すがわらのみちざね)は901年(延喜1)に九州の大宰府(だざいふ)へ流されるが、そのおり庭の梅に惜別の歌を詠んで、のちに「飛梅(とびうめ)」の伝説を生んだ。その後、ウメは天満宮や天神様のシンボルとされ、現在に続く。
 ウメは7世紀から8世紀にかけて急速に広がったようだが、その品種が著しく増加したのは江戸時代である。1681年(天和1)に出版された水野元勝(もとかつ)の『花壇綱目(かだんこうもく)』には、「梅珍花異名の言」として53の名が列記された。そのなかにはオウバイ、ロウバイ(南京梅)、ユスラウメなどの別種も含まれているが、ほとんどは花ウメの品種である。京都の本草学者松岡玄達(げんたつ)(如心庵、1668―1746)は、ウメを白梅類29品種、紅梅類15品種、雑色類6品種(黄梅(おうばい)、黄金梅、常梅(とこうめ)(不断梅(ふだんばい))、三色梅、二色梅、墨梅(すみうめ))に分類した。その遺稿『梅品(ばいひん)』(上・下2冊)はのちに門人によって刊行された。明和(めいわ)年間(1764~1772)には寒咲きや早咲きの品種も現れ、文政(ぶんせい)年間(1818~1830)には盆栽作りが盛んに行われた。1901年(明治34)小川安村は『梅譜』で、343品種を豊後、難波、摩紅、紅梅(緋梅)、杏、寒梅、紅筆、唐梅、野梅の9系に分類し、以後の分類の基礎をつくった。また江戸時代には、花ウメのほかに梅干しの生産が盛んとなり、各地で梅園が誕生した。なかでも水戸藩主徳川斉昭(なりあき)は、積極的に栽植を奨励して偕楽園をつくった。
 ヨーロッパには17世紀末、ドイツの植物学者ケンペルがウメを伝えた。[湯浅浩史]

民俗

まっすぐに伸びた梅の若い枝でつくった杖(つえ)には、邪気を払う霊力があるとする俗信がある。新築の家に入居するときや、家の神事の前などに、梅の杖で家の中をたたいて悪気を払ったり、悪魔がついて急に苦しみだした牛の体を梅の杖でたたいて悪魔を追い払ったりする。真言宗の寺院で修法のときに使う散杖(さんじょう)も梅の枝の杖であるという。儀式のときの杖に梅の枝を用いる例もある。奈良県の春日大社(かすがたいしゃ)など、神事の行列の杖にするほか、葬式の野辺の送りに使う地方もある。貴人が地にさした梅の杖が根づいたという杖梅の伝説も、梅の杖に特別な宗教的意義を認める思想が基盤にある。[小島瓔
『谷口充著『ウメの作業便利帳――結実安定と樹の衰弱を防ぐ』改訂版(2006・農山漁村文化協会) ▽荒牧麻子監修『「梅」はこんなにからだにいい――梅干し・梅肉・梅酒・梅料理』(講談社+α新書)』

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