改訂新版 世界大百科事典 「オガルカヤ」の意味・わかりやすい解説
オガルカヤ
Cymbopogon tortilis Hitchc.ssp.goeringii(Hand.-Mazz.)T.Koyama
日当りよく乾燥した原野に生えるイネ科の多年草。イネ科でカルカヤと呼ばれるものにはオガルカヤとメガルカヤがあるが,両者はそれぞれ別属のものである。茎は株を作り,細いが硬く,高さは1mに達する。葉は細い線形で,白っぽい緑色,長さは30cmくらい,幅は3mm弱で,やや硬く,先は長くとがる。夏の終りから秋にかけて,茎の上部に円錐状に小穂をつけ,その長さは40cmに及ぶ。総(ふさ)は披針形で,淡い褐紫色を帯び,2個ずつ葉腋(ようえき)につく。小穂は対をなして総につき,1個は有柄で雄性,他の1個は無柄で両性である。この粉花序の形がスズメが飛んでいるように見えるので,スズメカルカヤの別名がある。本州から琉球諸島に見られ,中国中南部に分布する。オガルカヤ属Cymbopogonはアフリカとアジアの熱帯,亜熱帯に30種くらいあるが,精油を含んでいてコウスイガヤ,レモングラスのように香料用,薬用になるものが数種あり,観賞用に栽植もされる。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報