オナジマイマイ(読み)おなじまいまい(英語表記)common garden snail

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オナジマイマイ」の意味・わかりやすい解説

オナジマイマイ
おなじまいまい
common garden snail
[学] Bradybaena similaris

軟体動物門腹足綱オナジマイマイ科のカタツムリ。本来は東南アジア原産であるが、現在では世界の温・熱帯に広く分布し、日本へもチャサツマイモなどとともに移入し、全国に広がって人家の庭や田畑の草むらのほか、海岸にもすむ。殻高10ミリメートル、殻径15ミリメートルの低い円錐(えんすい)形をしている。薄質で、殻色は黄白色と赤褐色のものがあり、周縁に細い褐色の色帯のあるものとないものとがある。このため、殻色と色帯の有無の組合せで4型ある。遺伝的には、黄白色が赤褐色のものより、また、色帯のあるものはないものより顕性である。臍孔(へそあな)は開いているが、きわめて狭い。活動の休止期には殻口に半透明の膜を張る。温暖な季節に産卵し、1年で成貝となり、3~4年は生きると思われる。野菜類、苗などを食害する。

[奥谷喬司]

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改訂新版 世界大百科事典 「オナジマイマイ」の意味・わかりやすい解説

オナジマイマイ
Bradybaena similaris

人家の庭園生垣にふつうなオナジマイマイ科の巻貝。小型のカタツムリで,殻の高さ1cm,太さ1.5cm。殻は薄くて半透明で,淡黄色と赤褐色の2色があり,また,まわりに黒い色帯のあるのとないのと2型があるので黄色無帯,黄色有帯,赤色無帯,赤色有帯の4型が見られる。有帯は無帯に,黄色は赤色に遺伝的に優性である。もともと東南アジア原産でチャかサトウキビについて移入されたといわれるが正確なことはわからない。都市に多く,山林原野には生息しない。北海道南部から沖縄まで,また世界の温熱帯に広く分布する。気温が10℃以上になると活動を始める。主として初夏に産卵する。1年で殻口が広がって成貝になり,その後は成長しない。雌雄同体ですべての個体が産卵し,数ヵ月後に死ぬ。奄美,沖縄には近似種パンダナマイマイB.circulaが海岸のアダン(タコノキ科タコノキ属Pandanus)の樹下に多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オナジマイマイ」の意味・わかりやすい解説

オナジマイマイ
Bradybaena similaris; common garden snail

軟体動物門腹足綱オナジマイマイ科。殻高 1cm,殻径 1.5cmの小型のカタツムリ。殻は薄く,淡黄色と淡赤褐色の2型があり,さらに周縁に黒褐色の帯のある型とない型の2型があって,その組合せで4型がある。遺伝的には赤褐色と周縁の黒帯がそれぞれ優性であるが,日本では淡黄色で色帯のない個体が多い。東南アジア原産で,茶やサトウキビについて移入されたといわれ,世界に広く分布する。庭園や人家近くに普通にみられる。雌雄同体で,暖かい頃産卵し,1年で成貝になる。

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