オニゲシ(読み)おにげし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オニゲシ」の意味・わかりやすい解説

オニゲシ
おにげし / 鬼罌粟
[学] Papaver orientale L.

ケシ科(APG分類:ケシ科)の多年草原産地は地中海沿岸からイラン地方。茎は0.5~1メートル、葉は始め根際につき、長い柄(え)をもち深く羽状に裂け、中心から花柄が出てくるとその花柄に互生する。花柄は太く、5月に花茎10~15センチメートルの緋紅(ひこう)色の大輪を開く。花弁は4~6枚で倒卵形基部黒斑点(はんてん)となる。葉および花柄に粗毛をつける。茎は分枝せず、花期後は夏眠して地上部は枯れ、秋にまた伸びだし、冬は枯れない。花壇用、切り花(生花と落花後の果実つきの切り枝)用によい。最近は、より大輪で、花色が朱、桃、橙(だいだい)、白色などの品種、倒伏しにくく、花柄の強い矮性(わいせい)種など、園芸品種が多い。栽培は容易で、秋、休眠あけの株を日当りのよい所に30センチメートル間隔に植える。根伏せ(9~10月)、実生(みしょう)(早春)も可能。

[魚躬詔一 2020年2月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オニゲシ」の意味・わかりやすい解説

オニゲシ(鬼罌粟)
オニゲシ
Papaver orientale; Oriental poppy

ケシ科の多年草で,西アジアから地中海地方にかけての原産とされる。観賞用に栽培され,日本へは明治時代に渡来した。長い柄のある根生葉をもち,茎は高さ 1mあまり。茎葉は羽状に深く裂け長さ 20~30cm。茎,葉ともに剛毛が密生する。春遅く,茎頂に径4~5cmもの深紅色の5 (4~6) 弁花を開く。おしべは多数あって (やく) は紫黒色で目立つ。ケシに似るが大型で毛が多く,荒々しい感じからこの名がある。ケシと違ってモルヒネなどの麻薬成分は含まない。

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百科事典マイペディア 「オニゲシ」の意味・わかりやすい解説

オニゲシ

オリエンタルポピーとも。地中海沿岸〜イラン原産のケシ科の多年草。根出葉は羽状に深裂し,草たけ1m前後で,茎と葉には白い毛がある。6月ころ,径10cmほどの赤だいだい色の花を1個つける。花弁は4〜6枚で,基部に黒斑がある。園芸品種には八重咲,白・朱・桃色の花もある。花壇に向き,株分けか実生(みしょう)でふやす。
→関連項目ケシ(罌粟)

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世界大百科事典(旧版)内のオニゲシの言及

【ケシ(芥子)】より

…移植をきらうので,9月末に直まきして間引きを重ねて育てる。(3)オニゲシP.orientale L.(英名Oriental poppy)は地中海沿岸からイランにかけて原産し,日本へは明治時代に渡来した。花径15~20cmで,改良種の花色は白色,桃色,朱紅色などがあり,宿根花壇に適する。…

※「オニゲシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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