民謡。〈おばこ〉は若い年ごろの娘をいう方言。山形県の《庄内おばこ》は,方言を盛り込んだユーモラスな歌詞と,のどかな旋律に人気がある。歌の発生は近世初頭ころかともいわれ,農家の縄ない歌としてもうたわれたという。これと並んで人気のある秋田県の《秋田おばこ》は,仙岩峠を越えて南部盛岡へと往来する庄内の博労(ばくろう)たちの手により《庄内おばこ》が運ばれたものといわれ,仙北地方各地にうたわれていた〈おばこ〉を総称して《仙北おばこ》といった。それがレコード化に際して《秋田おばこ》と改められたもの。《秋田おばこ》の代表的な歌詞は,17歳という女性の年齢を扱っているが,この年齢の女性は民謡にしばしば登場し,背景の女の生活を思わせる。
執筆者:仲井 幸二郎
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