オルト効果(読み)おるとこうか(英語表記)ortho effect

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルト効果」の意味・わかりやすい解説

オルト効果
おるとこうか
ortho effect

ベンゼン誘導体の反応に際して、反応する基の反応あるいは作用に対して、隣接するオルト位の置換基が及ぼす影響のことをいう。たとえば、トルエン側鎖メチル基CH3-を過マンガン酸カリウムで酸化して安息香酸とするとき、メチル基のオルト位に置換基があると酸化されにくい。

 また、N,N-ジメチルアニリンは、ハロゲン化アルキルと反応して第四アンモニウム塩を生成するが、両方のオルト位に置換基をもつジメチルアニリンは第四アンモニウム塩を形成しにくい。

 これらの現象は一般にオルトの置換基の立体効果として理解される。

[徳丸克己]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「オルト効果」の解説

オルト効果
オルトコウカ
ortho effect

ベンゼン誘導体の性質や反応性について,オルト位の置換基が,メタ位やパラ位の置換基と違った特異な影響を与えること.たとえば,置換基をもつ安息香酸エステルの加水分解速度定数に及ぼす置換基の影響は,置換基がメタ,パラ位にある場合は,ハメット則に従うが,オルト置換基は異常性を示し,きわめて分解速度が遅い.オルト効果は,置換基の立体効果がおもな原因である場合が多い.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「オルト効果」の解説

オルト効果【ortho effect】

芳香族化合物において,A,B,2種の置換基が隣接位置(オルト位)に結合している場合に,化学反応や物理的性質に,メタ位やパラ位に結合した場合にはみられない異常な影響が出現することがあり,これをオルト効果という.原因には主として立体的なものが考えられるが,ほかにもいろいろな原因となるものがあるらしい.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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