過マンガン酸カリウム(読み)かまんがんさんかりうむ(英語表記)potassium permanganate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「過マンガン酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

過マンガン酸カリウム
かまんがんさんかりうむ
potassium permanganate

マンガン酸塩の代表的なものの一つ。

 マンガン酸カリウムK2MnO4の水溶液を塩素で酸化するか、二酸化炭素を通じて不均化反応をおこさせる。工業的には、軟マンガン鉱MnO2を空気中で水酸化カリウムと強熱して得られる融成物を原料とし、アルカリ性で電解酸化してつくる。


 濃赤紫色結晶。反射光では緑色。熱すると200℃で酸素を放って分解する。

  2KMnO4―→K2MnO4+MnO2+O2
 水によく溶け酸性でもアルカリ性でも強い酸化剤として働く。酸性水溶液では
  MnO4-+8H++5e―→Mn2++4H2O
アルカリ性水溶液では
  MnO4-+2H2O+3e-―→MnO2+4OH-
となる。アセトンエタノールに溶ける。水溶液をカメレオン液ということがある。硫酸酸性でシュウ酸を二酸化炭素に、鉄(Ⅱ)を鉄(Ⅲ)に、ヨウ化物をヨウ素に酸化しマンガン(Ⅱ)塩となる。アルカリ性では速やかにマンガン酸塩に還元され、ついで酸化マンガン(Ⅳ)の水和物を沈殿する。濃水溶液を強アルカリ性にすると緑色溶液(マンガン酸イオン)となって酸素を発生する。濃硫酸と混合すると爆発性の油状物質Mn2O7を生成する。滴定分析の酸化剤、有機合成漂白殺菌剤などに用いる。

[守永健一・中原勝儼]


過マンガン酸カリウム(データノート)
かまんがんさんかりうむでーたのーと

過マンガン酸カリウム
  KMnO4
 式量  158.0
 融点  ―
 沸点  ―
 比重  2.703
 結晶系 斜方
 溶解度 6.34g/100g(水20℃)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過マンガン酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

過マンガン酸カリウム
かマンガンさんカリウム
potassium permanganate

化学式 KMnO4 。緑色光沢のある赤紫色結晶。空気中で安定。約 200℃で分解し,酸素を発生する。比重 2.70。水に易溶,アセトン,アルコールに少し溶ける。アルカリ,有機物により容易に分解。塩酸と反応し塩素を発生する。濃硫酸によりしばしば爆発が起り危険。酸化剤として広範な用途があり,過マンガン酸カリウム滴定 (酸化還元滴定 ) ,有機合成,殺菌,漂白などに広く用いられている。

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