オンデマンド配信(読み)おんでまんどはいしん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オンデマンド配信」の意味・わかりやすい解説

オンデマンド配信
おんでまんどはいしん

データ配信方式の一つ。視聴者がサービス提供事業者にリクエストし、映像音声などのデータ配信を受けていつでも視聴できる方式である。データの送受信には、光ファイバーのインターネット通信網やケーブルテレビネットワークを使用したサービスが多いが、Wi-Fi(ワイファイ)やLTEなどの高速無線ネットワークに対応したサービスも増えている。オンデマンドとは、要求を意味するデマンドdemandと、その都度(つど)という意味をもつオンonを組み合わせた表現である。データを送受信する仕組みのうえでは、ウェブやメールの利用も同様の方式といえるが、映画などのオンデマンド配信の場合、あらかじめ配信先の視聴環境に適した数種類のデータを用意してデータセンターのサーバに蓄積しておき、視聴者からの要求に応じて指定に適合するデータとネットワークを接続し、ダウンロードしながら同時閲覧できる仕組み(ストリーミング)になっている。

 2000年(平成12)前後からブロードバンド通信基盤に、過去の映画やテレビ番組を配信するビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスの提供が始まり、オンデマンドという表現が浸透するきっかけとなった。それ以降、配信データを受信する端末は、パソコンやスマートフォン、タブレット型端末、テレビに接続するSTB(セットトップボックス)などへと広がっており、コンテンツの内容も急速に多様化している。ラジオ番組のポッドキャストなど音声のみのサービスもあるが、映像を用いた配信サービスが拡大しており、ビデオ・オン・デマンドをはじめ、大学の授業や企業のセミナーなどを配信するオンデマンド授業、企業の投資家向けの情報提供(IR:Investor Relations)、音楽ライブや舞台公演の映像配信などが、着実に浸透している。コンテンツごとに課金する方式と、一定金額支払いの方式とがある。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例