オーストリア国家条約(読み)オーストリアこっかじょうやく(その他表記)Austrian State Treaty

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーストリア国家条約」の意味・わかりやすい解説

オーストリア国家条約
オーストリアこっかじょうやく
Austrian State Treaty

正式名は「独立民主主義オーストリア再建の国家条約」。 1955年5月 15日アメリカイギリスフランスソ連とオーストリア間に成立した対オーストリア講和条約。主要内容は,上記四大国によるオーストリアの政治的・経済的独立の保障ドイツとの合併禁止,特殊兵器 (ABC兵器,ミサイルなど) の所有製造実験の禁止,ドイツや日本からの民間航空機入手の禁止など。なおソ連,オーストリア間の「覚え書」でオーストリアの永世中立が約束され,これに基づきオーストリアは同年 10月 26日永世中立を宣言した。しかし冷戦の終結後,ヨーロッパ共同体 ECへの加盟申請に踏切ったことから,永世中立の地位に逸脱する可能性をめぐって国内で賛否両論が湧き起った。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「オーストリア国家条約」の解説

オーストリア国家条約(オーストリアこっかじょうやく)
Staatsvertrag

第二次世界大戦後,米英仏ソの四カ国共同(分割)管理下にあったオーストリアの講和条約。上記4国との間に1955年5月15日調印。ナチス・ドイツに併合されたオーストリア国家を回復し,国家条約と呼ばれた。ドイツとの合邦(アンシュルス)の禁止,核兵器その他特殊兵器の所有,製造,実験の禁止などが規定された。さらにオーストリアの永世中立が要件とされ,同年10月,オーストリアは「永世中立に関する連邦憲法法規」を宣言した。

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百科事典マイペディア 「オーストリア国家条約」の意味・わかりやすい解説

オーストリア国家条約【オーストリアこっかじょうやく】

1955年米・英・ソ・仏4ヵ国とオーストリアとの間に結ばれた一種中立条約。これにより第2次大戦後の上記4ヵ国による分轄占領は終わり,ドイツとの併合禁止,軍備制限が規定された。永世中立が要件とされたが,スイスの場合とは違って国際慣習上の保障はない。
→関連項目オーストリア

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旺文社世界史事典 三訂版 「オーストリア国家条約」の解説

オーストリア国家条約
オーストリアこっかじょうやく

1955年5月15日,アメリカ・イギリス・フランス・ソ連とオーストリアの間に結ばれた講和条約
第二次世界大戦後,4か国の共同管理下で分割されたオーストリアが,この条約で独立を回復し,ドイツとの合併禁止,永世中立国化が決まった。

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