カバキコマチグモ(読み)かばきこまちぐも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カバキコマチグモ」の意味・わかりやすい解説

カバキコマチグモ
かばきこまちぐも / 樺黄小町蜘蛛
[学] Chiracanthium japonicum

節足動物門クモ形綱真正クモ目フクログモ科に属する陸生動物。体長雌12ミリメートル、雄10ミリメートルの黄色のクモで、上顎(じょうがく)が黒くて目だつので、地方ではクチグロという所がある。普通、ススキの葉をちまきのような形に折り曲げて住居としている。9月初旬に住居内で産まれた卵が孵化(ふか)すると、子グモたちは母グモの体を食い尽くすことで有名。またこのクモは日本産のクモ類でもっとも毒性が強く、かまれると、体質にもよるが数日間発熱、腫脹(しゅちょう)、疼痛(とうつう)、悪寒の症状を呈することがあるが、毒性は致命的ではなく、やがて治癒する。治療法としては抗ヒスタミン剤が用いられる。本種と似た種類にヤマトコマチグモ、アシナガコマチグモ、ヤサコマチグモがいるが、これらの子グモは母グモを食べない。

[八木沼健夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カバキコマチグモ」の意味・わかりやすい解説

カバキコマチグモ
Cheiracanthium japonicum

クモ綱クモ目フクログモ科。雌の体長 1.2cm,雄はやや小さい。頭胸部は橙黄色で,腹部はやや淡色ないし黄色。腹部は卵形で大きい。ススキなどのイネ科植物の葉を折り曲げて産室をつくる。8~9月に孵化した子グモは第1回の脱皮を終ると母親の体を食い尽してしまう。北海道から九州に分布する。近縁のアシナガコマチグモ Ch. eutittha,ヤマトコマチグモ Ch. lascivumなども同様な習性をもつ。このクモに咬まれると非常に痛く,日本のクモによる刺咬症例のなかでは,この種によるものが最も多い。 (→フクログモ )

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