フクログモ(読み)ふくろぐも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フクログモ」の意味・わかりやすい解説

フクログモ
ふくろぐも / 袋蜘蛛

節足動物門クモ形綱真正クモ目フクログモ科のクモの総称狭義にはフクログモ属をさす。草原、畔(あぜ)、山地にかけて多くみられる。木や草の葉を折り曲げて住居をつくる。種類が多いが、ほとんどが黄色で、目だった形態や斑紋(はんもん)をもつものが少ないので、外見上の区別はむずかしい。代表的なものは水田に多いハマキフクログモで、イネの葉を三つに折り曲げてその中にすむ。樹木の樹皮の間などにいる腹部に数対の褐色斑のあるムナアカフクログモ、草間にみられる矢筈(やはず)斑をもつ褐色のヤハズフクログモなどは普通にみられる種である。

 同じ科のコマチグモ属のカバキコマチグモは、ススキの葉を折り曲げているものが多い。このクモは、毒性のやや強いこと、子グモが母グモの体を食って育つことで有名である。山地には広葉樹の葉を巻くアシナガコマチグモがいる。

[八木沼健夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フクログモ」の意味・わかりやすい解説

フクログモ
Clubionidae; sac spider

クモ綱クモ目フクログモ科に属する種類の総称。狭義にはフクログモ属 Clubionaの総称。体長 0.2~1.5cmで,体は黄褐色。徘徊性。木や草の葉を折り曲げて住居兼産室をつくるものが多い。本科の日本産種は約 50種で,代表種にハマキフクログモ C. japonicolaやヒメフクログモ C. kurilensisなどがある。前種は水田,草原にごく普通で,イネ科の植物の葉を三つ折りにして産室をつくる。後種は広葉樹の葉を利用する。近縁カバキコマチグモも同様の習性をもつ。 (→クモ類 )

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