カボタージュ(その他表記)cabotage

翻訳|cabotage

デジタル大辞泉 「カボタージュ」の意味・読み・例文・類語

カボタージュ(cabotage)

他国の国内二地点間、または海外領土間を運送すること。シカゴ条約により、各国は外国航空機に対しこの運送を禁止することができると定められている。

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改訂新版 世界大百科事典 「カボタージュ」の意味・わかりやすい解説

カボタージュ
cabotage

沿岸貿易あるいは沿岸運輸ともいう。カボタージュは,もともと一国内の同一沿岸に属する港間の航行および取引を意味した。しかしながら,今日の通商条約の中で用いられるカボタージュあるいは沿岸貿易は,同一沿岸であるか否かにかかわりなく,一国内のいずれかの二つの港間における運輸を意味するようになった。しかもここで一国内という場合には,本国と植民地あるいは自治領間の輸送も含むものとされている。近時,このカボタージュの言葉が航空輸送にも用いられ,同一国の空港から他の空港への旅客または貨物の輸送をエア・カボタージュと呼んでいる。海運におけるカボタージュは排他的権利として,国家の独占するところであり,その国家が許可を与えない限り,外国船舶には認められない。航空輸送についても同様で,国際民間航空条約7条は,締約国によるエア・カボタージュの権利の留保を認めている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カボタージュ」の意味・わかりやすい解説

カボタージュ
cabotage

沿岸貿易。1国内の2地点間の旅客または貨物の運送をいう。元来海上運送において国際慣習として成立し,発達したもので,国家は自国沿岸の航海貿易から自由に外国船舶を排除し,これを自国船舶にのみ留保することができた。この海上慣習が航空運送に持込まれたものが「エア・カボタージュ」で,1国の領域内の2地点間の航空運送は,自国機にのみ許可し,外国機は排除されるのが普通である (国際民間航空条約7) 。もとは1国の地理的に同一沿岸の港の間の運送をいったが (プチ・カボタージュ) ,近時拡大傾向にある。本国と海外領域の2地点間を運送するグラン・カボタージュ grand cabotageは,航空機の場合は一般的に認められるが,船舶についても次第に自国船舶に留保される傾向にある。

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世界大百科事典(旧版)内のカボタージュの言及

【航空運送事業】より

…またIATA(イアタ)に加盟するのが一般的である。同一国内の空港間での外国機による商業運送(カボタージュcabotage)は禁止され,適用する運賃,料金は各国の運輸大臣の許可が必要となる。国内航空の場合もほぼ同様であり,日本を例にとると,事業の設立には運輸大臣の免許を要し,運賃,料金も運輸大臣の認可制で,運輸審議会への諮問が必要となり,〈航空法〉による規制をうける。…

【航空運送事業】より

…またIATA(イアタ)に加盟するのが一般的である。同一国内の空港間での外国機による商業運送(カボタージュcabotage)は禁止され,適用する運賃,料金は各国の運輸大臣の許可が必要となる。国内航空の場合もほぼ同様であり,日本を例にとると,事業の設立には運輸大臣の免許を要し,運賃,料金も運輸大臣の認可制で,運輸審議会への諮問が必要となり,〈航空法〉による規制をうける。…

※「カボタージュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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