カラタチバナ(読み)からたちばな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラタチバナ」の意味・わかりやすい解説

カラタチバナ
からたちばな / 唐橘
[学] Ardisia crispa DC.

ヤブコウジ科(APG分類:サクラソウ科)の常緑小低木。単にタチバナコウジともいう。高さ30~60センチメートルになり、枝を分けない。葉は互生し、濃緑色で質が厚く、つやがある。広披針(こうひしん)形で先は細くとがり、縁(へり)に波状の歯牙(しが)と腺体(せんたい)がある。7月ごろ、長さ4~7センチメートルの柄の先に約10個の小さい白色花を散形につける。花冠は星形に深く5裂し、雄しべ5本、雌しべは1本。果実は球形、径6~7ミリメートルの液果で、11月に赤く熟し、年を越しても残る。果実の白いシロミタチバナ、黄色に熟すキミタチバナ、葉の斑(ふ)入りなど園芸品が多い。暖地の樹林下に生え、関東地方南部以西の本州、四国、九州、沖縄、中国南部に分布する。適湿の半陰地を好み、庭木鉢植えにする。

小林義雄 2021年3月22日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラタチバナ」の意味・わかりやすい解説

カラタチバナ(唐橘)
カラタチバナ
Ardisia crispa

ヤブコウジ科の常緑小低木。コウジ (柑子) ともいう。関東以南の暖地の樹下に自生するが,ときには観賞用に栽培されている。樹高約 30cmでこんもりとした樹形をつくり,長さ 15cmほどの披針形の葉を互生する。夏に,葉腋から花柄を出し,白色5裂の合弁花をつける。球形の液果は赤熟し,越年する。この植物を単にタチバナと呼ぶこともあるが,この名はまたミカン類 Citrusの古名としても用いられ,ヤマトタチバナ,アマタチバナなどミカン属の種や変種にこの名をつけているものが多く,まぎらわしいのでカラタチバナと呼んで区別する。

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世界大百科事典(旧版)内のカラタチバナの言及

【マンリョウ(万両)】より

…日本(関東地方以西~琉球諸島),済州島,台湾,中国,チベットに分布する。本種に近縁なものに,茎は高さ約30cm,葉は披針形で長さ8~18cmのカラタチバナA.crispa DC.がある。これは日本(関東地方以西~琉球諸島),台湾,中国に分布し,漢名を百両金と称し,マンリョウと同様に観賞用とする。…

※「カラタチバナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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