カリッサ(その他表記)karaunda
caranda
Carissa carandas L.

改訂新版 世界大百科事典 「カリッサ」の意味・わかりやすい解説

カリッサ
karaunda
caranda
Carissa carandas L.

高さ4~5mのキョウチクトウ科の常緑低木で,節から鋭いとげが2本生じ,先端は通常1~2回,二叉(にさ)に分かれている。花は白色で美しく芳香があり,熱帯地方ではとげがあるので,人畜の侵入を防ぐために生垣として利用される。対生する葉は楕円形で先はわずかにとがり長さ5cm内外,濃緑色で光沢がありやや厚く硬い。花は径3cmくらいで,花弁は厚く5片に分かれ,星状を呈する。おしべは5本ある。果実は紡錘状で長さ4~5cm,熟すと赤色となり美しく,完熟すると紫黒色となる。原産地はインド。果肉はやわらかく甘酸味があり,生食のほかジャムや砂糖漬とされ,未熟果はピクルスに利用される。繁殖は挿木,取木による。乾燥に耐え,土質も選ばず,栽培は容易である。暖地では野外で越冬するが,冬季に落葉するため果実はつきにくいが,最低10℃くらいで保温すれば果実をつける。低温期には多湿を避ける。

 カリッサ属Carissaでは,他に数種がカリッサと同様に利用されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリッサ」の意味・わかりやすい解説

カリッサ
かりっさ
[学] Carissa

キョウチクトウ科(APG分類:キョウチクトウ科)の低木で、35種ある。原生地は熱帯アフリカ、熱帯アジアで、果樹としての利用が多い。英名のカリッサはC. carandas L.をさす。高さ数メートルで乳状の樹液ラテックスlatexを含む。枝節に対をなしたY字型の刺(とげ)がある。葉は対生し、卵形、長さ7センチメートル。花は筒部は淡紅色、花冠は白色で5弁、直径2センチメートル、芳香があり、通年開花する。果実は液果、長楕円(ちょうだえん)、長さ2.5センチメートルで暗紫色に熟し、種子は4個ある。乳液があり、甘味、酸味がよく調和し、生食、ジャム、ゼリー、タルト(パイの一種)などにする。薬用ともなり、生け垣にもする。オオバナカリッサC. macrocarpa (Eckl.) A.DC.(C. grandiflora A.DC.)は南アフリカ原産で大果をつける。

[飯塚宗夫 2021年6月21日]

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