2002年に登録され、2014年に登録範囲の拡大、登録基準が変更され、登録遺産名も「カンペチェ州、カラクムールの古代マヤ都市」から「カンペチェ州、カラクムールの古代マヤ都市と保護熱帯林」へと変更されたメキシコの世界遺産(複合遺産)。メキシコの南東部、ユカタン半島南部に位置するカンペチェ州カラクムール市にある都市遺跡。カラクムール遺跡は、1931年、アメリカ人探検家によって、ティエラス・バハスの熱帯林の奥深くで発見された。紀元前4世紀から紀元10世紀末まで続いた都市で、1200年以上重要な役割を担い続け、6世紀頃にはその規模はマヤ文明最大級の都市といわれるティカルに匹敵するほどであった。遺跡から発掘されたピラミッドや球戯場、宮殿などの遺構をはじめ、カラクムールの都市構造や配置の保存状態はきわめて良好で、古代マヤ文明時代の生活の様子や文化を鮮明に知ることができる重要な史跡である。これまでは文化遺産としての登録だったが、2014年にメキシコ中央部からパナマ運河までの熱帯雨林が加えられ、ケツァールをはじめとした中米の固有種も生息し、多彩な生物種を有するメソアメリカ生物多様性ホットスポットの中心的な存在として、自然遺産の普遍的価値も認められ、複合遺産となった。◇英名はAncient Maya City and Protected Tropical Forests of Calakmul, Campeche