固有種(読み)こゆうしゅ

日本大百科全書(ニッポニカ)「固有種」の解説

固有種
こゆうしゅ

ある特定の地域あるいは島にだけ局限して産する生物の類をさし、一般にいう特産種と同じ意味である。ただし、産する範囲があまり広い場合には用いない。固有種は主として地理的な隔離が原因となって生じたものと考えられ、一地域の生物中で固有種が占める割合は、とくに島の場合など、隣接の陸地から島が分離した時期が古いか新しいかを判断する資料となりうる。つまり、固有種が多いほどその島などが、大陸あるいは隣接の陸地から古い時代に離れたことを意味する。一般に、移動能力の小さい生物(陸産貝など)や、海流や気流によって伝播(でんぱ)されないような生物(淡水魚類など)ほど、局地的に固有種や固有型を生じやすいといえる。

[中根猛彦]

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知恵蔵「固有種」の解説

固有種

特定の限られた地域にのみ生息する生物種。種に限らず固有属や固有亜種という呼び方もされる。これに対して在来種(植物の場合は自生種ともいう)は、昔からその地域の動植物相を構成している種すべてをいう。在来種に対して、別の地域から移りすんだものが外来種または移入種で、特に人間活動に付随して定着・繁殖したものを、帰化動物帰化植物と呼ぶことがある。アメリカシロヒトリなどの害虫セイタカアワダチソウなどの都市雑草にそうした例が多く見られる。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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精選版 日本国語大辞典「固有種」の解説

こゆう‐しゅ コイウ‥【固有種】

〘名〙 分布が特定の地域に限られる動植物の種。普通種に対して、一般に分布が一大陸を越えない場合に限っていう。日本のニホンザルなど。

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世界大百科事典 第2版「固有種」の解説

こゆうしゅ【固有種 endemic species】

特定の地域に限定して分布する生物の種をさす。特産種ということも多い。地域の大きさはさまざまにとることができるが,最大は1大陸とみてよい。2大陸以上にまたがって分布する種は,汎存種(はんぞんしゆ)または広分布種とよばれる。日本の種子植物のうち固有種はフサザクラカツライワユキノシタや見慣れたカントウタンポポやカンサイタンポポなど,北海道から九州にかけて1600余種を数えることができる。 固有種は,分布の成立時期を考慮した場合,遺存固有(古固有)および新固有に分けることができる。

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