日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガジ」の意味・わかりやすい解説
ガジ
がじ / 我侍
ocellated blenny
[学] Opisthocentrus ocellatus
硬骨魚綱スズキ目タウエガジ科に属する海水魚。朝鮮半島東岸、富山県以北の日本海、青森県以北の太平洋岸およびオホーツク海の日本各地、樺太(からふと)およびロシアの日本海側、千島列島、カムチャツカなどの沿岸などに分布する。別名ゲンナ。体は側扁(そくへん)して細長く、体表はぬるぬるする。背びれは棘条(きょくじょう)だけからなり、臀(しり)びれより高い。腹びれと側線はない。体は黄緑色でときには網目状の斑紋(はんもん)がある。背びれに5個の黒斑がある。沿岸の海藻の間にすむ小形種で、全長20センチメートルくらいにしかならない。おもにヨコエビ類、ワレカラ類などを食べる。成熟した雄は体が赤みを帯び、体の網目模様や背びれと臀びれの模様が顕著になる。卵は塊になって石の下、貝殻などに産み付けられ、雌は体を卵塊に巻き付けて保護する。アイナメ、クロソイなどの釣りの餌(えさ)にすることもある。食用として利用されていない。近縁種のハナジロガジO. tenuisによく似ているため混同されやすいが、ハナジロガジは吻端(ふんたん)が白く、背びれに6~7個の黒斑があることで区別される。タウエガジ、ムスジガジ、ヌイメガジ、ナガヅカなど北方系のギンポ類を総称してガジ類とよぶこともある。
[尼岡邦夫]